情報サイト「たすけあい」をはじめてからこんなメッセージをもらうことがありました。
児童養護施設へ実習に行くことになったんですが、不安しかありません…
わたしは施設で暮らしていたからどんな場所がわかるけど、施設実習が不安という学生さんもいるんだな〜と思いハッとしました。
ちなみに執筆者であるわたしは、高校を卒業したあと保育士資格や幼稚園免許が取得できる短期大学の保育科に通っていました。
よって、実習に行く学生さんの気持ちもわかりますし、実習に行く前に「施設実習 I 」「施設実習 II 」という講義があることも知っています。
でもそれだけでは消えない不安があると思いますので、その不安を少しでも減らしたい!
そう思い施設職員さんにインタビューをし、その内容をまとめてみました。
結論から言うと「実習に行く施設によって心構えは違う!」のは当然なのですが、あくまで参考程度に最後までご覧いただけると嬉しいです!
もし、元施設職員さんや実習経験のある人がいたら「じぶんはこうだったよ〜」というのをコメントで教えてくださいね!
いま不安を感じている学生さんたちの支えになるので、力を貸してもらえると嬉しいな!
実習前の準備
児童養護施設に実習…行かなきゃいけないっていうのもあるけど、あんまり良いイメージがないし、不安しかない…何か事前にできること(学べること)ってないのかな?
そう思っている人もいますよね。
①事前にできること・スキルアップ
ある施設職員さんは実習前の準備として3つ挙げてくれました。
- じぶんにあった体調管理の方法を知る
- 実習先の理念をチェックする
- 簡単な調理の練習をする
一つ一つみていきます。
実習中は早番・遅番・宿直など、不規則な勤務体制を経験します。
学校の先生にも言われると思いますが、体調を崩さないよう、しっかり寝て、しっかり食べて、しっかり動けるよう、じぶんにあった体調管理法を探してみましょう!
実習中は予定を入れない!バイトを休む!
普段より早く寝る!(単純だけど大切)
普段は一人暮らしだけど、実習中は実家に帰る!
家庭ごとに生活のルールや大切にしている行事が違うように、児童養護施設でも場所によって大切にしていること(理念・養育方針)が異なります。
そのため、事前に実習先のホームページをチェックして、以下のようなことを押さえておきましょう!
- 信仰宗教の有無
- 施設の理念
- 法人で取り組んでいる事業
実習前の事前準備としてわたしが「たしかに大切だな〜」と思ったのは「簡単な調理ができる」という点です。
施設職員さんはこのように言っていました。
実習にくる学生さんのなかには調理をやったことがない(やる機会がない)人もいます。
職員がサポートすることもあるけど、知っておくといいかなと思います。
そして「できたらいいな」という調理について次のことを挙げてくれました。
- お米が研げる
- 炊飯器でご飯が炊ける(操作ができる)
- 包丁の切り方(輪切り・短冊切りなど)がわかる
- 味噌汁の作り方がわかる
この情報サイトの記事をご覧のかたはわかると思いますが、児童養護施設は子どもたちが生活する場所です。
朝昼晩のご飯作りやお弁当づくりは、わたしたち施設職員の仕事の一つです。
まだまだ調理員さんがご飯をつくって子どもたちに提供している施設もありますが、ご飯や味噌汁は各ホームで準備する場所も増えてきました。
簡単な調理は将来にも役立つので、ぜひ練習してみてください!
②服装
幼稚園の実習、保育園の実習ではスーツで通勤・着替えて勤務をするところもありますが、児童養護施設はどんな服装で通勤・勤務するのでしょうか?
実習中の服装については、また別の動画で紹介したいと思っていますが簡単に紹介します!
施設職員さんに話を聞いていくと、だいたいこの3パターンの通勤スタイルになりました。
- 普段着で通勤(パンツスタイル)
- スーツで通勤
- オリエンテーションのみスーツで通勤
オリエンテーションはスーツという施設が多い印象でした。
通勤時はパンツスタイルが基本にはなりますが、ジーパンがOKなところもあれば、ジーパンがNGなところもあります。
実習先の職員さんによく聞いていただけたらとは思いますが、チノパンがあれば無難かなと思います。
通勤着と同じで、施設によってさまざまな服装の留意点があります。
一例にはなりますが、以下に聞いたことを挙げておきます!
- ジーパンOK
- ジーパンNG
- ジャージOK
- 外で遊ぶときはジャージ推奨
- 下着が見える服装はNG
- 首周りがざっくり開いたトップスはNG
- ダメージジーンズはNG
普段着で来て動きやすいのに着替えてもいいし、そのまま勤務しても良いって伝えています。うちの施設は靴が泥だらけになるので、必要であれば靴も通勤用と勤務用で分けてくださいねと伝えています。
施設見学(オリエンテーション時)をするときに職員の服装をよ〜く見てみてください!
このように、実習中の服装は施設によって異なりますが、下着が透けそうな服やかがんだ時に下着やパンツが見えるような服装は避けましょう。
③泊まり込みの準備
実習先によっては通勤ではなく、泊まりこみの場合もありますよね。
保育士資格を取得する場合は2週間弱、社会福祉士を取得する場合は約1ヶ月間の実習期間です。
実習生が泊まる場合、子どもたちが自立の練習をするときに使用する自立訓練室や、宿直室、現在は少なくなっていると思いますが職員寮の一室を使用することになります。
通所か泊まり込みがいいか、実習生の住まいによって相談しています
このように、みなさんに合わせて丁寧に対応してくださる施設もあるので、じぶんの意見を伝えられるといいですね。
わたし自身、保育士資格をとる過程で児童養護施設の実習に行きましたが、1週間の泊まり込みでした。キャリーバッグに洋服やエプロンを入れて中部地方の児童養護施設へ。同じクラスの子が2人一緒だったので、不安感はありませんでした。
実習期間にもよりますが、着替えは3日分くらいあれば十分かなと思います。
僕の施設は勤務以外の時間は自由にスーパーやコンビニに行ってもOKでした。
ただ施設の場所によっては宿泊場所が施設内にあるので、子どもと出くわすことも。
洗濯機やハンガーを貸してくれる施設もあるので、オリエンテーションで確認しましょう!
いよいよ実習スタート!
①実習生の勤務時間
「実習」なので、職員さんと同様に勤務時間が決まっています。
②昼勤務:9:00~18:00(1時間休憩)
③夜勤務:14:00~22:00(1時間休憩)
④宿直:22:00~6:30
実習生は勤務後、1日の振り返りを職員さんと行いますが、勤務時間内なのか勤務時間外なのか…どちらなのでしょうか?
うちは勤務時間内に1日の振り返りも行います。
勤務時間内(終了の15分前くらい)で振り返りをすることもあれば、職員によっては勤務時間にプラスで振り返りをすることもあります。
これも施設によって、職員さんによって異なるということですね!
②実習中にやること
ここでは実習生がやることの一例を紹介します!
時間 | やること |
---|---|
5:30 | 朝食づくり |
6:50 | 子どもたちを起こす |
7:00 | 朝食の配膳 |
7:20 | 朝食・皿洗い |
8:00 | 子どもたちの見送り |
幼児さん送迎(幼稚園・保育園) | |
そうじ・洗濯 | |
会議・引き継ぎ |
時間 | やること |
---|---|
13:00 | 食材・必要物品の買い出し |
14:00 | 宿題の見守り |
15:00 | おやつの準備・一緒に食べる |
16:00 | 入浴介助 |
夕食づくり | |
17:45 | 配膳 |
18:00 | 夕食・皿洗い |
19:00 | 自由時間 子どもたちと一緒にテレビを見る トランプやボードゲームをする |
20:00 | 年齢順に寝かしつけ |
児童養護施設は生活の場なので、やることがない時間も出てくると思います。そうなったときに「何か他にやることはありますか?」と職員に聞けるとGOODです!
就寝前の時間は年齢ごとにかかわりが変わってくるので楽しい時間になると思います。中学生や高校生になると学校の友だちの話や恋愛の話、将来の話なんかもできるかもしれないですね。
その他に実習生がやることとして、こんなこともありました!
- 施設内の会議・委員会に参加
- 学校や児童相談所との協議に参加
- イベントがあれば一緒に参加
- 招待行事があれば引率
③日誌について
日誌の書き方については学校の先生から説明があると思いますが、日誌について職員さんがどう思っているのかを聞いてみました。
参考にしてみてください!
日誌については文章の量、言葉遣い、誤字脱字を気にする職員さんもいるし、向き合う姿勢や考え方を重視する職員さんもいます。本末転倒ではありますが、職員によって日誌を重視する度合いが違ってきますね。
日誌についてはテンプレート(定型文)はありません。
学校での授業で学んで、最低限の内容を盛り込めればOKかな〜
実習日誌は1日の振り返りとして考察・分析できるツールです。
さまざまな職員さんとかかわることがあると思うので、方向性は同じでも細かい切り口は職員によって異なる部分があるので、気づいたことは小さなことでも記入しておくと、あとから読み返し理解を深めることにつながると思います。
そして、実習中といえばメモが必須ですよね!
メモをするときの注意点として基本の「キ」にはなりますが、次のことを教えてくれました。
そのために、①トイレで書く ②キッチンでかかんで書く 実習生が多いとのことでした。
トイレは盲点だったので、いいアイディアだな〜と思いました!
実は「日誌を書く」って子どもにかかわる分野でとても大切な業務の一つなんだ。ぜひ、元児童養護施設職員のときたっちの〈動画〉を見てね!
現役職員が思う理想の実習生像
「理想の実習生像はなんですか?」というのは、これから実習に行く学生さんからの質問なのですが、これは「子どもウケと職員ウケ両方あるよね」と職員さんが言っていました。
これから紹介するのはどちらかというと職員さん向けの理想像にはなりますが、教えてもらったので紹介します。
具体的に出てきた「理想の実習生像」は次の2つです。
- 挨拶ができる
- 報告ができる
どれも学校で言われることだと思いますが、一つ一つみていきます!
挨拶ができる
挨拶は関係をつくる上での基本となるコミュニケーションです。
相手がいないのに挨拶をすることってあんまりないですよね?
なので、挨拶から関係性がスタート!という気持ちで、会話は下手くそでも挨拶だけはがんばってみてください!
職員向け
「おはようございます。本日もよろしくお願いいたします」
「本日もありがとうございました。お先に失礼します」
子ども向け
「おはよう」「おやすみ」
「いってらっしゃい」「おかえり」
思春期の子どもだと挨拶をしても返答がないこともありますが、めげずに挨拶しましょう!子どもはちゃんと聞いていますよ笑
報告ができる
つづいては「報告」についてなんですが、知っている人が少ない環境下で報告をするってちょっとハードルが高いですよね。
なぜ報告が大切なのか。
それは「挨拶ができる」と似ていますが、報告という過程を踏むことが相手との信頼関係につながるからです。
職員から指示をうけてやったことや思うようにいかずに迷った時に、途中経過や結果の報告をもらえると職員も状況の把握ができ、必要な助言ができます。なので、これができるとGOODです。
例①)施設職員さんが「ご飯を炊いといて」と実習生にお願いし、炊飯器の使い方を一回説明。そのまま夕食の時間になったが、ご飯が炊けていないことが発覚。
実習生に聞いてみると「教えてもらったけど、やり方を忘れてしまい言えなかった」
例②)子どもと実習生との間にトラブルがあったとき職員に報告するのが遅れてしまい、子どもが職員に伝えるケース。
これについては職員自身も「何かあったら相談してね」と言いやすい環境をつくる必要もあると感じています。
なので、振り返り以外のフォロー(いまどう?と声かけをする)も意識的にやっています。
まとめ
それでは、今回の記事のまとめです!
- 実習前の準備としてやっておいたらいいことは ①じぶんにあった体調管理法を知る ②実習先の理念をチェックする ③簡単な調理の練習
- 通勤の服装は施設によって異なりますが、①普段着で通勤(パンツスタイル)②スーツで通勤 ③オリエンテーションのみスーツで通勤の3パターンがあります
- 実習中の服装は施設によって異なりますが、下着が透けそうな服やかがんだ時に下着やパンツが見えるような服装は避けましょう。
- じぶんの住居に合わせて通所か泊まり込みかを考慮してくれる施設もあります。洗濯機やハンガーを貸してくれる施設もあるので、オリエンテーションで確認しましょう
- 実習中は施設職員さんと同じようにシフトが決まっています。
- 一例にはなりますが、①朝勤務:6:30~15:30(1時間休憩)②昼勤務:9:00~18:00(1時間休憩)③夜勤務:14:00~22:00 ④宿直:22:00~6:30 というシフトイメージです。
- 実習中にやることは子どもたちの生活にかかわる内容がほとんどです。中には ①施設内の会議・委員会に参加 ②学校や児童相談所との協議に参加 ③イベントがあれば一緒に参加 ④招待行事があれば引率といった内容もあります。
- 日誌の書き方については学校の先生の説明を取り入れつつ、1日子どもたちとかかわった振り返りのツールとして考察・分析を記入していくと、就職後も役立つのでおすすめです。
- 理想の実習生像は子どもと職員とで異なりますが、 ①挨拶ができる ②報告ができると良いでしょう
いかがでしたでしょうか?
今回は実習に行く学生さんから届いた質問を記事にまとめていきましたが、いま児童養護施設で働いている職員さんの答えをこの記事に詰めました。
「全く不安がないです」というのは逆に良くないと思っているので、不安な気持ちを抱いたまま、この記事の「できたらいいこと」や「失敗例」を頭に入れて実習に行ってきてもらえたらと思います!
もう何度も何度もお伝えしてはいますが、施設によって大切にしていることや服装の指定に若干の違いはありますので、事前のオリエンテーションで疑問に思ったことは質問してみてくださいね。
次回の記事では実習に関するQ&Aをまとめますので、次回の内容も参考程度に見てもらえたら嬉しいです!