【現役職員に聞く】1.2年目の葛藤「辞めたい!無理」→続けてこられた理由

みなさん、こんにちは!田中れいかです!

今回は全国的にも珍しい、現役児童養護施設職員さんが発信するYoutube番組「こたえのない世界へ」チャンネルさんにインタビューさせていただくことになりました!

みなさんと一緒に児童養護施設職員さんのリアルに触れながら、今日も施設で働く職員さんたちの悩みにお答えいただきたいと思います!

「こたえのない世界へ」チャンネルの概要

この番組は児童養護施設専門のチャンネルです。 世の中に児童養護施設の現状を広める活動を行っています。 現役施設職員の「メンター」と「みっちゃん」 さらには心理士の「のりちゃん」も加わり、 面白おかしく児童養護施設についてのトークをお送りしまていす。 児童養護施設を知らないあなたも、知っているあなたも、 ボランティア等で関わりがあるあなたも、実際に働いているあなたも、 ぜひ一度見ていただけたらと思います。
→チャンネルは〈こちら〉

(聞き手 / 田中れいか)

異業種へ転職して再就職

ーみなさんは就職して1,2年目の時があったと思うんですけど、辞めたくなったことはありますか?

メンター:あります!

みっちゃん:自分が就職した時は、毎月水曜日だけが休みで、体調を崩して2年で辞めることになったんですが、その時は子どもと向き合うのに一生懸命でとにかく夢中ででした。

なので、「身体を壊しても、子どものために頑張りたい」っていう気持ちの方が強かったです。

ただ、体調を崩したときに、自分の親が涙を流してるシーンを見て「自分だけが頑張ればいいんだっていうのは違うな」っということに気づいて。苦渋の思いで、その時は辞める決断をしました

加えて、今みたいに入職しても教えてくれる環境ではなかったので、とにかく何から何まで見て覚えて。一方で子どもはというと、それこそ「若造が入ってきたぞ」とか「うちのほうが先輩だし」みたいなところがあったので、信頼をしっかり得るように頑張っていました。

その途中でやめたいなと思ってたと思いますが、辞められない気持ちのほうが強かったですね。だから体調を崩して、どうしようもなくなったんですよね。

県外の児童養護施設へ再就職

ーもっさんはどうですか?

もっさん:夢中でっていうのを聞いて「てあ〜確かに、1,2年目ってすごい夢中だったな」と思いました。

「これをやらなきゃ」「子どもをこうしていかなきゃいけないな」っていうのを考えながら仕事をしていて、周りを気にする暇がないっていうか。

「これをやらなきゃいけないんだ」っていうことがたくさんあって、本当に夢中になっていたなと思います。

そんな生活を送る中で「ダメだ」と思って、施設を辞めるという決断を2年目の時にしました。その時は苦しかったですし、本当は辞めたくないのに辞めるっていう決断をしなければいけなかったことが後悔でしかなかったです。

それまでは辞めるっていうことを考えたことはありませんでした。

辞める理由としては、職員同士の人間関係です。自分の中で「ここだけは納得できない」っていうところがあったのですが、何回話をしても相反するような気持ちになってしまって。

「ここに居続けたら自分が本当に潰れる」って思ったのが決断の背景としてあります

加えて、もっと知識を得たいなと思ったので、東京の施設に就職しました。そこで、「こういうこともやってみたい」と思ったからこそ、一度辞めるという決断が一回できたのかなと思います。

同期の繋がりが働き続ける理由に

ー施設職員自体を辞めるという決断ではなく、一回職場を変えて経験を積む方法を選んだのですね。のりさんは、いかがでしょうか?

のり:担当を持たれてる先生たちが大変そうなところを毎日見ると「もうちょっと楽しい職場があるんじゃないかな〜」と思ったことはあります。

あるとき現場の人が足りなくなって、朝の6時半から勤務したことがありました。それを経験した時に「わぁ、大変だ!」と思って。その経験をしたからこそ「おはよう」から「おやすみ」までを支える大変さや、そこに向き合う先生方の苦しみや悩みがわかったのですが、1,2年目の時はなかなか理解できませんでした。

また、心理職って基本は外来型というか、相談に来ていただいて帰っていくところを見送るくらいの関わりなのですが、児童養護施設は施設の中に心理室や話ができる場所があって。

自分が考えていたカウンセリングっていうのとは違う特殊な環境でもあったから、そこはすごく悩むところがありましたね。

面接や話が終わって「じゃあね」って言ったのに、また施設内で会うじゃないですか(笑)

そういうところも、慣れるまではすごく悩みました。一対一の関係性だけでいいはずなのに「なんか難しいな」っていうのを1,2年目の時はよく考えていたなと思います。

もちろん、生活場面に触れることで、カウンセリングの時とは違う姿も見られる喜びもあるんですけどね。

正直、仕事を辞めたいと思ったことはあります。それは、大変そうに働く人を毎日見たり人間関係の悩みを聞いたりする中で、自分が巻き込まれないようにするのは1,2年目だと難しかったりもするんですよ。

今でこそ、上手になってきたかなとは思いますけど、1年目の4月や5月にそれができるかというと厳しいですよね。施設といっても子どもたちにとってはお家だし、相手を知ろうとするとどうしても距離が近くなったり…

心理職の場合は魔法使いのように「心理士さんに言ったら全てが解決しちゃう!」とか「子どもの問題行動も全部なくなっちゃう」とか言って期待度が高まる職種だと思うんです

なので、一年目はプレッシャーを感じましたし、難しいなって思うところがあって辞めたいなと思うときもありました

そんな思いがあるなか働き続けられているのは同期の存在です。すごく話せる人たちだったので、その存在には何度も救われました。

その後、2年目のときにメンターと出会うんですけど、やっぱり人との出会いですかね。

いろんな人と出会うことによって「ちょっと続けてみようかな」「こういう楽しさがあったんだな」と、自分にとっての新しい世界の見方に出会える。

それらの出会いを通して「もうちょっと続けてみようかな」と思っていたら5年経っていたという感じですかね。

とにかく辞めたいしかなかった

ーでは、メンターさんの辞めたくなった瞬間を教えてください。

メンター:やめたくなった瞬間、めちゃくちゃありましたね。数えたらキリがないですね。

仕事中にあまりにも嫌で逃げ出して公園でボーッとしていた時もあります。施設に帰りたくないからボケーッとして。あとでめちゃくちゃ怒られるんですけど。

加えて、入職したての頃は子どもが言うことを聞いてくれないし、当時は「見て学べ」の世界だったので大変でした。

なので、辞めたくなる人の気持ちはめちゃめちゃわかります。もう18年働いていますが、紆余曲折、山あり谷ありの人生なので。

1,2年目はとにかく無我夢中で、記憶にないぐらい「もう辞めたい」しかない状態でした。「もう嫌だ」「もう無理」…みっちゃんと会うたびに言っていました。

「もう辞めたい」と思うのに、何か理由とかないんですよ。とりあえずもう無理!キツイ!

そんな時に師匠(みっちゃんと共通の師匠)が僕を認めてくれたんですよ。僕自身を認めてくれて「お前はお前のままでいいじゃん」「いいけ、やれ」みたいな。めっちゃ叱られるけど、叱るその3倍ぐらい褒めて認めてくれる人でした。

辞めたい気持ちをみっちゃんや他の同期に言うことで共感しあって、「お互い別々の施設だけど、もうちょっと居続けよね」って。

みっちゃんが一度退職して戻ってくれた時に、すぐ会いに来てくれたんですよ。僕は戻ってきたことを知らなくて「帰ってきたよ」って言われた時に凄く嬉しかったし、それだけでも仕事を続けられる理由になりました。

今の施設に移っても信頼できる仲間がいるので、もうちょっと頑張れるかなというところもあります。

ですが、根本は「辞めたい」っていう人たちの気持ちがよく分かるので、思い切り愚痴を吐いてほしいです。いくらでも受け止めるので。

「わかるよ〜」って言って思いっきりハグしてあげるくらい分かるんです。

ー辞めたいって言ってはいけないんじゃないかなっていう気持ちの人が多いと思いますが言葉にしていいんですね。

メンター:はい!もちろんです。僕たちがいつでも受け止めるので。「分かるよ〜」「いいんよ、それで〜」ってめっちゃ言ってあげます。お互いに共感し合うことが大事かなって思うので。

みっちゃん:世の中が変われば児童養護も変わらないといけないから、今は辛くても頑張っていけばいい方向に変わっていくけ!

メンター:僕らがたすけあいchに出る決断をしたのも、同じ気持ちを持ってる方と繋がって分かち合いたいと思ったからです。細く長く、児童養護施設で働き続けていくためには繋がりって必要なので。

僕らでは微力な力かもしれないですけど、辞めたいと思う経験をしながらもここまで続けてきた人がいるよっていうことを知ってもらえたら嬉しいです。

少しでも、一日でも長く働きつづけてほしいので、いつでも言いに来てください。

ー勇気づけられるメッセージをありがとうございます!次回のテーマは「生育歴の違う大人でつくるお家づくり」です!

(聞き手 / 田中れいか)

「こたえのない世界へ」チャンネルの概要

この番組は児童養護施設専門のチャンネルです。 世の中に児童養護施設の現状を広める活動を行っています。 現役施設職員の「メンター」と「みっちゃん」 さらには心理士の「のりちゃん」も加わり、 面白おかしく児童養護施設についてのトークをお送りしまていす。 児童養護施設を知らないあなたも、知っているあなたも、 ボランティア等で関わりがあるあなたも、実際に働いているあなたも、 ぜひ一度見ていただけたらと思います。
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