【現役施設職員向け】職場の人間関係がうまくいく!適切な距離感を築く3つの法則

みなさん、こんにちは!田中れいかです。

今回は全国的にも珍しい、現役児童養護施設職員さんが発信するYoutube番組「こたえのない世界へ」チャンネルさんにインタビューさせていただくことになりました!

みなさんと一緒に児童養護施設職員さんのリアルに触れながら、職員さんの悩みにお答えいただきたいと思います!

「こたえのない世界へ」チャンネルの概要

この番組は児童養護施設専門のチャンネルです。 世の中に児童養護施設の現状を広める活動を行っています。 現役施設職員の「メンター」と「みっちゃん」 さらには心理士の「のりちゃん」も加わり、 面白おかしく児童養護施設についてのトークをお送りしまていす。 児童養護施設を知らないあなたも、知っているあなたも、 ボランティア等で関わりがあるあなたも、実際に働いているあなたも、 ぜひ一度見ていただけたらと思います。
→チャンネルは〈こちら〉

(聞き手 / 田中れいか)

ー本題に入る前に、みなさんがどんな形態の施設で働いてきたのか教えていただけますか?右から順番にお願いします!

メンター:僕は今の施設が3つ目で、一番最初が大きな大舎制、2つ目がユニット制、3つ目が現在の施設で小規模児童養護施設で働いています。合計で18年働いています。

のり:私は今の施設で働いて5年目になります。基本的には大舎制ですが、地域小規模児童養護施設もあって、施設心理士として働いています。

もっさん:私はユニット制の施設に2年、いま働いてるところが大舎制で合計5年になります。

みっちゃん:僕は大学を卒業してすぐに就職し、2年間働きました。そのあと退職して医療関係の仕事に転職して営業を7年しました。それから今の施設に来て、7.8年になります。

経験としては地域小規模に行った年もありました。今は本園に戻って大舎制で働いています。

Part ① 職員不足の現状とポジティブな変化

ー現在、社会的養護の領域では担い手不足というニュースやNPOさんの発信が目立ってきていますが、ズバリ、聞きます!人材確保、困ってますか!?

メンター:困ってます!

みっちゃん:ずっとそうよ(笑)

メンター:れいかさんの本の中でもあったけど、11年生活していて11人職員が変わる。それを普通の人は「えっ」と思うかもしれないけど、児童養護施設業界としてはあるあるですね。

みっちゃん:そう、あるあるだよね。昔に比べたら、徐々には良くなってきていると思いますけどね。昔は本当、勤務時間があって無いようなもので、24時間子どもに関わっていたような仕事でした。しかし、国の制度も変わり、施設も変化をしていく中で人材不足も働く環境も良くなっていると思います。

ただ、個人情報がたくさんある場所なので、未だにやっぱり発信が弱いと感じています。僕たちは「こたえのない世界へ」というYouTube番組をやっているんですけど、実習生の学生さん達がきても児童養護施設についてほとんど知らないということも。

加えて、保育士の実習生は必ず児童養護施設に行くわけではないので、知らない人がまだまだたくさんいます。「知られていない」ことによって、就職希望者がそもそも少ない現状もあると感じています。

Youtube番組「こたえのない世界へ」の撮影風景

ー知られていないことが職員不足に繋がっている。これまで職員が少ないなか、どうやって現場を回してきたのでしょうか?

メンター:もう、やっぱりサービス残業というか。

みっちゃん:昔はね(笑)

メンター:だけど、先ほどみっちゃんが言ったように施設は大きく変わってきていて。サービス残業の多かった当時と比較すると働きやすくなっているかなと思うくらいです。

昔は毎日がサービス残業だったので。

ーおそらくサービス残業時代のことを知らない、もっさん。今の施設の働き方はどうなっていますか?

もっさん:残業というのは子どもに対してなので、できる時はしてあげようかなと思うんですよね。でもやっぱり「帰ってください」という風潮を今の社会福祉施設も推し進めてきているので、区切りをつけて帰るというところは自分の中で決めている所かなと思います。

ー昔より、オンとオフが切り替えやすくなったのですね。

みっちゃん:そのためにチームアプローチを強く意識していて、例えば、もっさんが仕事をしていても次の勤務の人が「もう引き継ぎますよ」と言って交代する。そういう連携を大切にしています。

メンター:離職率の高さ、定着の低さというところはずっと問題になっていて、なかなかメスを入れられない状態でした。全国どこ見ても「これじゃいけないよね」ということで、施設独自でさまざまなことをやってきました。

その流れの中でどの施設でも共通しているのは、「人は自分が大切にされないと人に大切にはできない」ということ。そこに考え方をシフトチェンジしていったので、いろんな施設の職員に話し聞いても変化していることを実感できました。

みっちゃん:大きく変わったポイントとしては、児童福祉法の改正や職員の配置基準の変化。これによってメスを入れられた部分もあると思います。

メンター:今までは子ど6人に対して職員が1人でしたが、現在は4対1になっていて、職員を雇いやすくなりました。職員を配置するとお金が加算される専門職というのも増えてきて、国が制度を変えてきてくれたので何かの法令とか西暦何年とかっていうターニングポイントはないですけど、時代の流れとともにすごく変わってきたなって感じます。

ー私には分からない感覚なのでお聞きしますが、6対1と4対1って何がどう変わるんですか?職員が雇いやすくなるのはわかったのですが、6対1でも現場を回せていたんですよね?

メンター:6対1でもなぜ回せていたのかというと、時間を区切って決まった日課をこなすようにしていたので、ある程度少ない大人でも子どもたちを養育できていました。

よって、今までは管理的養育・指導的養育が強かったんですけど、「それじゃだめだよね」と言うところも出てきて。一人一人の問題にどう個別で対応していくかという議論が多くなりました。その流れから大きく変わり始めたと思います。

ーでは、制度の変わり目を経験してきて、当時はできなかったけど、制度の変化によってできるようになったことって何かありますか?

メンター:昔は就職前提で高校の進学先を考えていたのですが、これだけ制度が整ってくると夢を諦めさせる指導的なものから夢を諦めさせない指導に変わってきたのを感じています。この変化については、僕らとしてもやりがいを感じているところです。

今いる子どもたちとどう向き合って、どうこの子たちの将来を考えていくかというのは18年で変わり目を実感しましたね。

Part ② 職員同士の適切な距離感を築く3つの法則

ー少し話を戻したいと思いますが、ぶっちゃけ…職員同士の人間関係ってどうなんですか!?

みっちゃん:一般の企業でも人間関係というのは色々あるので、施設ももちろん色々あります。ただ、僕が感じるのは子どもに対して「どうしよう」というのは変な話、数字にはできないので、そういう面では揉めやすいし、関係が悪くなる原因にはなるかなと思います。

ー辞めてしまう人も、もちろんいますよね。その辞めていく方々の共通点として何があると感じていますか?

メンター:職場環境として孤独になりやすいのは離職のきっかけとして挙げられるかなと思います。

加えて、一つのお家に今まで違う生育歴の人と価値観を持った集合体が集まってくるので、そこにいる人たちの認識のズレをどうやって修復していくかっていうところで難しさを感じ退職する人をたくさん見てきました

ただ、その部分を改善していく方法として、施設長と現場職員の間ぐらいにいる僕たちがそれぞれの想いを汲み取って双方にキャッチボールできるような架け橋を作れるようなそんな存在になれば変わっていくと思います。そういう存在になることで、意見が言いやすい環境になり、認識のズレというのが少なくなっていくと思っています。

みっちゃん:メンターの言うこともちろんそうだと思います。

あと施設の環境として特徴的なのは子どもに対して真っ直ぐになりすぎて身体を壊す職員もいます。昔で言うサービス残業をしている中で自分の体を休められない状態とか、思いが先行してしまって、突っ走っていって体調を崩してやめてしまうとか。

メンター:この点については、いつもみっちゃんと話していて。それこそ病気と一緒で、早期発見・早期治療が非常に大事で。「いかにして早く気づいてあげて、いかにしてしてそこにメスを入れてあげられるか」。体調を崩したら元も子もないじゃないですか。

少し心のゆとりをもちながら、自分のライフスタイルを保っていくことを職員たちに大事にしてほしいし、僕たちとしても早期発見・早期治療を心がけているところです。

ーメンターさんはこれまでたくさんの退職された先生を見てきたと小耳に挟みました。もしよろしければ、職員同士の関係性におけるうまくいくための法則があると聞いたので教えていただくことできますか?

メンター:僕の中で基本的に輪を大事にって言うのも良く分かるし、コミュニケーションを取っていこうねって分かるんですけど、あまりにも取りすぎると今度はなぁなぁになってしまったりとかちょっとの亀裂ですぐ職員関係が悪くなったりもするんです。

そんな僕が、離職した職員を見てきた経験から思うのは、最低限この3つを大切にしようねということです。一つ目は「挨拶をしっかりする」二つ目は「必要最低限の”報連相”を行うこと」最後三つ目は「話すときに笑顔」です。

ーえ、そんなことでいいんですか?

メンター:はい、そうなんです。好き嫌い関係なく「昨日こんなことがありました」「こういうことを指導していますのでサポートお願いします」とか、きちんと言うことが大事なんです。

嫌いな人には伝えることができないのは人間の感情として仕方ないと思うんですけど、コミュニケーションは少なくてもいいので「最低限、この3つをやろうね」と伝えています。

あとは、相手に共感する姿勢もあるといいですよね。何を発するに関しても「それいいですよね」「良い意見ですよね」「分かります」とか、まず共感することで人は認められた気持ちになるので。

これだけをきちんと守っていければ、ある程度しっかり距離が取れた中で、良い関係を築いていけるんではないかなと思います。

ー良い関係、良い距離感。

メンター:そうですね。距離感においては、相手のことがものすごく嫌になるというか、嫌なことが見え始めると僕の価値観ですけどすごく距離が近くなりすぎてるんじゃないかなって感じています。

よく、恋人とか親友とか親に対して「なんで私のこと分かってくれないの?」「何でこれしないの?」「あれしないの?」と思う時があると思うんですが、相手の存在が近くなると相手の嫌なところが見えやすくなると思うんです。

でもその時に、相手の良いところを見ようとして一歩二歩と離れていくと、相手との距離感をしっかり保てるようになって相手のいいところが見えるようになる

で、僕のポイントは「あ、こういう良いところあったな」って思える瞬間があることが、相手との距離感の中で大切なことかなと思っています。

そのことに気づいてからは、僕自身も先ほどあげた3つのことを大切にしていますし、職員間との距離もすごくとってます。

だから、心の距離をしっかり保つこと。そこが一番大事かなって思っています。程よい距離感の中でうまくコミュニケーションを取る。その距離感を自分の中で見つけていきさえすれば、燃え尽き症候群になることも減るのではないかなと思います。

ここにいるみっちゃんとの付き合いは長いんですが、お互いに距離感を大事にしています。近すぎず、遠く離れずもしませんし。お互い心地いい関係性の中で話をしたり、Youtube番組を一緒にするなど、いろんな付き合いが十数年やれています。

そういう関係が職員間の中でもできたら、大きく「この人が嫌いだ」というところも少なくなっていくかなと思うし、より細く長く今の児童養護施設の中で働き続けていく一つの秘訣かなって僕は思いましたね。

みっちゃん:自分の意見と違う人に出会った時に「こういう考え方もある」って思うことが大切だと思っています。

職員間の仲が悪かったら子どもって気づくんですよね。それが子どもの支援に対して本当に良くないんです。子どももそれに気づいて、良い職員に寄ったりするので。そうなったら現場がぐしゃぐしゃになるんですよね。

なので職員が普段から仲良くしていれば子どもたちも安心するし、子どもたちも楽しいと思うんですよね。

ー以前、施設職員さんから「全部をさらけ出さなきゃいけないのかって思っちゃう」というコメントがあったのですが、今のようなお話を現場で実践するといいってことですよね。

メンター:そうですね。その職員さんもできると思いますし、のりは特に距離感の取り方が上手です。

のり:そうですね。あまり人のことを気にしすぎないのが大事かなっていうと、オンオフをきっちり。それは職場の関係と、その他の関係とをです。そこは割り切った方が自分の健康のためには大事かなって思ったりします。

特に児童養護施設での職場の人間関係は特殊で、常に感情で養育をしていると距離感が近くなりやすいんです。そうすると、職員同士でも「あの人嫌い」とか「あの人がこういうことしたからこうなった」って思いがちというか。

それはもう、誰が悪いとかではなくそういう職場環境だなと思うので、そうなることをわかった上で距離を置くことが大事だなと思っています。

私はもう、休みの日は絶対に職場の近くを通らないとか、同じ服を着ないとか。些細なことなんですけど、人それぞれ距離感の取り方って絶対あるのでそれを見つけるとより働きやすくなるかなと思います。

ー「同じ服を着ない」は初めて聞きました。いい切り替え方法だなと思います。

メンター:まとめにはなりますが、SV(スーパーバイザー)と言われる人が一人でもいると、その施設は本当に大きく救われるかなと思っています。

いたらどれだけ救われるかなと思うし、離職するタイミングとして3,4年目が一つの壁になるんです。これから!っていうところをSVがサポートできれば、一人で抱え込まずに職員同士で職員を支えていける循環ができるのかなと思います。

ーありがとうございました!次回は「仕事を辞めたくなった瞬間」をテーマにお話を聞かせていただきます!

(聞き手 / 田中れいか)

「こたえのない世界へ」チャンネルの概要

この番組は児童養護施設専門のチャンネルです。 世の中に児童養護施設の現状を広める活動を行っています。 現役施設職員の「メンター」と「みっちゃん」 さらには心理士の「のりちゃん」も加わり、 面白おかしく児童養護施設についてのトークをお送りしまていす。 児童養護施設を知らないあなたも、知っているあなたも、 ボランティア等で関わりがあるあなたも、実際に働いているあなたも、 ぜひ一度見ていただけたらと思います。
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