こども家庭庁と社会的養護についてわかりやすく解説!具体的な取り組みや担当局の紹介

みなさん、こんにちは!

みなさん、こんにちは!

2023年4月1日にこども家庭庁がスタートしてから、早くも8ヶ月が経過しました。それと同時にこども基本法が制定され、こどもや若者、子育て当事者をまんなかに据えた政策について議論が活発に進んでいます。

なかでも当サイトでも取り上げている社会的養護は、厚生労働省からこども家庭庁へ管轄が移管されており、切っても切り離せない存在です

ただし、国の動きは毎月進行しているものの、現場職員さんがリアルタイムで情報に追いつくことは難しい現状があります。

そこで、今回は・・・

実際にこども家庭庁に設置されている会議「こども家庭審議会」の委員を務めている経験から、社会的養護に関する内容のみをピックアップして、どんな議論が進んでいるのかを紹介していきたいと思います!

(参加していても「なんのことだ?」とわからなくなるのですが…)

いつから?こども家庭庁設立の背景

まずは、こども家庭庁が設立されるまでの流れを見ていきます。

①令和3年12月21日|こども家庭庁創設の方針が閣議決定

これまでのこどもや若者に関する施策は、少子化社会対策基本法や子ども・若者育成支援推進法、児童福祉法などのさまざまな法律に基づいて実行されてきました。

しかし、令和2年度には児童虐待の相談対応件数や不登校、いじめの件数が過去最多となり、こどもを取り巻く状況が深刻化している現状があります。

そこで日本は、こども政策を推進することで少子化を食い止め、こども一人一人のwell-beingを高めるための新しい司令塔として「こども家庭庁」を創設することになりました

今こそ、こども政策を強力に推進し、少子化を食い止めるとともに、一人ひとりのこどもの Well-being を高め、社会の持続的発展を確保できるかの分岐点である。常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えて(以下「こどもまんなか社会」という。)、こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもの権利を保障し、こどもを誰一人取り残さず、 健やかな成長を社会全体で後押しする。そうしたこどもまんなか社会を目指すための新たな司令塔として、こども家庭庁を創設する。

こども政策の新たな推進体制に関する基本方針について
令和3年12月21日閣議決定
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku/pdf/kihon_housin.pdf

②令和4年6月22日|こども家庭庁設置法が公布

次に、こども家庭庁を令和5年4月1日にスタートするために、こども家庭庁設置法が公布されたんだ!

法律のことはよくわからないけど「こども家庭庁を設置します」っていう法律を作る必要があったんだね!

こども家庭庁設置法(令和4年法律第75号)の概要
https://www.cas.go.jp/jp/houan/220622/75gaiyou.pdf

こども家庭庁が実施する事務のうち、社会的養護にかかわる内容は次の通りです。

  • こどもの虐待防止
  • こどもの権利利益の擁護
  • 小学校就学前の家庭における子育て支援
  • 妊産婦、その他母性の福祉の増進

詳しくは後半で説明するよ!

③令和4年6月22日|こども政策を一元化するための法律を公布

さらにその次は、こども家庭庁設置法の公布と同日に、こども家庭庁が責任をもってこども政策を一元化してくために、児童福祉法や学校教育法を改正することや、審議会や部会の整理を実施するための法律を公布したよ!

こんな法律まで成立する必要があるんだ…

こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(令和4年法律第76号)の概要
https://www.cas.go.jp/jp/houan/220622/76gaiyou.pdf

④令和4年6月22日|こども基本法の公布

最後に、令和4年6月22日に公布された法律は「こども基本法」です。

こども基本法の概要(令和4年法律第77号)
https://www.cas.go.jp/jp/houan/220622/78gaiyou.pdf
Point!

日本国憲法やこどもの基本的人権を国際的に保障するために定められた「児童の権利に関する条約(日本は1994年に批准)」に基づいて、「すべてのこども」が対象となる法律が公布されました。

これまで「すべてのこども」を対象にした法律はなく、少子化対策基本法や子ども・若者育成推進法、児童福祉法などに散らばっていたんだ。

以前、野田聖子議員(当時、こども政策担当大臣)のお話を聞いたとき「こども専用の省庁や法律ができることは画期的なことだ!」と言っていたけど、こういうことだったのか…

内閣府「行政機構図」を参考にたすけいが作成
※日付は公布の日にち

厳密にいうと、児童の権利に関する条約は日本の法律としての立ち位置ではないんだけど「児童の権利に関する条約にのっとり」と記載があるので図に落とし込んでみたよ!

こども基本法がすべての省庁、すべての法律にかかわっていることがよくわかるね。

こういった4つの手続きを経て、こども家庭庁ならびにこども基本法が施行されました。

こども家庭庁と社会的養護

冒頭、こども家庭庁と社会的養護は切っても切り離せない関係だとお伝えしました。というのも、もともと社会的養護にかかわる手続きは厚生労働省が担当しており、その担当がこども家庭庁に移管されたからです。

厚生労働省時代の管轄

こども家庭局
虐待防止対策推進室
担当課・室担当係
子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について家庭福祉課虐待防止対策推進室
保健指導専門官
 児童相談所における児童虐待相談対応件数や児童福祉司の配置について家庭福祉課児童相談係
参考)全国児童福祉主管課長会議資料・施策照会先一覧
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000916545.pdf

担当課・室担当係
都道府県社会的養育推進計画家庭福祉課
指導係
 児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査について家庭福祉課社会的養護専門官
国立児童自立支援施設の入所手続き等について
家庭福祉課予算係
養子縁組民間あっせん機関実態調査結果について家庭福祉課企画係
参考)全国児童福祉主管課長会議資料・施策照会先一覧
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000916545.pdf

社会的養護のもとで暮らす子どもたちの措置費についても、家庭福祉課が担当だったんだ!

たしかに、これまでサイトで紹介してきた調査データは大体が「厚生労働省こども家庭局家庭課」だったね!

こども家庭庁の管轄と組織図

これまで説明してきたように、こども家庭庁はすべてのこどもを対象としています。そのため「社会的養護の担当はここ!」とは言い切れないのですが、大部分は「支援局」が担うことになりました

その、すべてのこどもたちを取り巻く環境について審議し実行していくために、3つの部門に分かれて政策や事務を取り行っています。

こども家庭庁の3つの部門(①長官官房チーム②成育局チーム③支援局チーム )について、業務パンフレット2023(こども家庭庁作成)を参考に紹介するよ!

司令塔機能を担う「長官官房」

長官官房の仕事

・こども家庭庁全体の予算のとりまとめ
・こども・子育て関連のデジタル化「こども政策DX」の推進
・総合政策として①こども大綱の策定・推進 ②こども若者の意見反映 ③国際機関との調整・情報収集 ④統計等データ整備

全てのこどもの安心安全を担当「成育局」

成育局の仕事

・保育所や認定こども園に係る施策の企画立案・総合調整
・幼児保育・保育の質の向上や保育士の資質向上、幼児期までの育ちの保障に取り組む
・地域における切れ目のない妊娠・出産支援等の推進
・安全・安心にインターネットを利用できる環境や青少年の非行・被害防止などの取り組みを行う

困難を抱えるこどもを支援「支援局」

支援局の仕事

・児童の権利に関する条約の精神にのっとり、児童虐待の防止対策に取り組む
・社会的養護を必要とするこどもやひとり親家庭への支援
・障害のあるこどもの発達支援

社会的養護にかかわる「支援局」

こども家庭庁には大きくいうと3つの部門がある、と説明しましたが、中でも社会的養護に大きくかかわるのが「支援局」です。

こども家庭庁の支援局が、どんな業務を担うのか、さrに細かく見てみよう!

  • さまざまな困難を抱えるこどもや家庭に対する年齢や制度の壁を克服した切れ目ない包括的支援
  • 地域の支援ネットワークづくり(こども・若者支援地域協議会、要保護児童対策地域協議会)
  • 児童虐待防止対策の強化
  • いじめ防止及び不登校対策(文部科学省と連携)
  • 社会的養護の充実及び自立支援
  • こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援
  • 障害児支援
  • こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援

こども家庭庁の創設について(体制と主な事務)
内閣官房こども家庭庁設立準備室
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000987734.pdf

こども家庭審議会と部会について

担当する部署がわかったところで、政策に関する会議を行っている「こども家庭審議会」について紹介します。

こども家庭審議会とは、こども家庭庁設置法(令和4年法律第75号第6条)に基づき、こども家庭庁に置くこととされている審議会です。

こども家庭審議会は内閣総理大臣またはこども家庭庁長官の諮問に応じて、以下の調査審議を行うこととしています。

  1. こども・子育て支援法の施行に関する重要事項
  2. こども、こどものある家庭及び妊産婦その他母性の福祉の増進に関する重要事項
  3. こども及び妊産婦その他母性の保健の向上にかんする重要事項
  4. こどもの権利利益の擁護に関する重要事項

ただ、こども家庭審議会で上記すべてのことを議論するのは難しいため、乳幼児期をテーマにした部会や居場所をテーマにした部会など、いくつかの部会が設置されています。

各部会、分科会の審議内容はこちらをご覧ください。

引用:こども家庭審議会(第1回)資料2-1:部会の設置について(案)

Point!

こども家庭審議会は8つ部会と3つの分科会で構成!

30歳以下の若者参加率は24%(6名 / 25名)!

この会議には2023年時点で社会的養護を経験した人が8人参加しているよ

こんなに参加しているなんて、歴史をさかのぼってもないくらい!

なかでも社会的養護を経験した人が参加しているのはこちらの会議です。

部会名人数
基本政策部会1名
こどもの居場所部会1名
児童虐待防止対策部会3名
社会的養育・家庭支援部会3名
注意:委員名簿が公開されている部会のみの紹介です

基本政策部会を除く3つの部会には、全国児童養護施設協議会や全国自立援助ホーム協議会、全国児童自立支援施設協議会の人をはじめ、現場職員や大学の研究者も数多く参加しています。

児童福祉法改正や政策に関する議論は「児童虐待防止対策部会」「社会的養育・家庭支援部会」で審議されているため、社会的養護関係者はぜひチェックください!

まとめ

それでは、今回の記事のまとめです!!

  • こども家庭庁はこどもを取り巻く状況が深刻化している現状を踏まえ、こども政策を推進することで少子化を食い止め、こども一人一人のwell-beingを高めるための新しい司令塔として令和5年4月1日に創設されました。
  • これまで社会的養護の担当をしていたのは厚生労働省こども家庭局家庭福祉課でしたが、令和5年4月1日からはこども家庭庁支援局家庭福祉課になりました。
  • こども家庭審議会には8つの部会と3つの分科会が設置されており、子育て支援や居場所、社会的養育を専門に議論する会議が開催されています。
  • 当事者参画という観点で言うと、社会的養護を経験した人たちの参加が合計8名。歴史的に見ても参画人数は過去最高です。
  • 児童福祉法改正や政策に関する議論は「児童虐待防止対策部会」と「社会的養育・家庭支援部会」で審議されているため、社会的養護関係者はぜひチェックください!

いかがでしたでしょうか?

少し遠くに感じていたこども家庭庁について、ちょっとは近くに感じていただけましたでしょうか?

審議する内容もしなければいけないことも山積みの状態ですが、3つの部門で働くみなさんは、早朝から晩までこどもたちのために動いてくださっています。

委員である私は、事務局のみなさんが会議に会議を重ね、作成してくださった資料を見て意見を言うだけ…今回ご縁あって出席させていただいたことで、支えてくださる人たちの存在をより身近に感じることができました。

といっても、現状は直接かかわっている人たちだけが盛り上がっている印象も否めません。こども家庭庁の中心となるこども・若者への認知が低いのも課題の一つです。

大学の講義に行ったときに「こども家庭庁って知っている人?」と聞くと、8割くらいは首を傾けます…

こういった普及・啓発の課題はありますが、今後の活動を通してより多くの人にこども家庭庁の取り組みを知ってもらえるよう工夫をしながら発信していけたらと思います。

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