【現役職員さんに聞いてみた】一時保護所の生活

以前、いちほの会さんの協力を得てまとめた一時保護所の概要をまとめたこちらの記事↓

【経験者が解説】一時保護所とは?

公開して数ヶ月で、情報サイトたすけあい内の注目記事になりました。

それくらい今、一時保護に対して不安を抱える子がいて一方で一時保護を望む子もいて… そして、そのことを心配する親御さんがいて…

不安や心配な気持ちのなかで、この記事にたどりついたのではないかと思うと同時に、それだけ注目度の高い話題であることを実感しました。

今回の記事ではさらに一歩踏み込んで、不安に思う子が多いであろう、一時保護されたあとに生活を送る事になる「一時保護所での生活」について、現役の職員さんにインタビューするかたちで記事としてまとめてみました!

一時保護所はその性質上、児童養護施設よりも閉鎖された場所であり、ほとんどが一般に公開されていない施設です。

よって、今回の記事をもって「全国すべての一時保護所がこうなっています!」とは言えませんが、資料の引用や職員さんのインタビューを通してわかったことをなるべく多く紹介できたらなと思います。

前回のおさらい

一時保護所の生活を解説する前に、簡単に前回の記事のおさらいをします!

  1. 一時保護所とはさまざまな事情から親元にいることが難しい子や虐待を受けている2~18歳までの子たちが一時的に生活を送る場所
  2. 全国の一時保護所における平均滞在期間は29.4日
  3. 保護期間の最短は3日以内(15.4%)、最長は2年以上(0.01%)
  4. 一時保護の期間は原則として2ヶ月を超えてはならないことになっている
  5. 一時保護後は73.6%が家庭へ戻り、25.4%の子が同意の上で施設等で暮らすことになり、1.0%の子が同意のないまま施設等で暮らすことになっている

ということで、ここからは今回の本題「一時保護所の生活」について解説していきます!

一時保護所での1日の流れ

東京都が公開している一時保護所の1日の流れはこちらです。

①幼児さんの日課

時間やること
7:00起床・朝食
自由遊び
10:00おやつ
12:00昼食
お昼寝
15:00おやつ
入浴・グループ活動・自由遊び
18:00夕食
自由遊び・テレビ時間
20:00就寝
一時保護所のご案内(東京都ホームページ)

②小学生以上の日課

時間やること
7:00起床・朝食
学習または運動
12:00昼食
学習または運動
15:00おやつ
そうじ・入浴
18:00夕食
1日のまとめ
21:30就寝
一時保護所のご案内(東京都ホームページ)
一時保護所 職員さん
一時保護所 職員さん

平日は学校のように時間割に沿って学習する時間があり、土日は学習や運動をしなくていい日課になっています。

わたしは小学1年生のときに保護されましたが、運動の時間にグラウンドを走ったり、雨の日は階段を登り降りしたり…その時間の印象が濃くありますね〜

1日のまとめは日記を書いていたような…

一時保護所のルール

1日の流れがわかったところで、どんな生活のルールがあるのか複数の職員さんに聞いてみました。

すると、多くの一時保護所において「じぶんの家族のことや住んでいる場所について話をしない」というルールが、共通しているがわかりました。

一時保護所 職員さん
一時保護所 職員さん

ただ、子ども同士の会話のなかで個人情報を出さないようにする…というのは難しいところもあるので、そういう場合は「あとでわたしと話をしようね」などと声かけをしています。

この一時保護所のように、臨機応変に対応してくれる職員さんがいるのは心強いですね。

ただ、全ての職員さんが、臨機応変に丁寧な対応ができるわけではないでしょうし、また時と場合によっては、そのように対応することが難しい状況があることも事実でしょう。

例えば、「定員20名の一時保護所だけど、人数が増え過ぎて現在40人保護しています。」となった場合、職員さんが個別に対応することが難しくなってしまいます。

すると「子ども同士で話すの禁止。」といったルールで、未然に子ども同士で個人情報を開示してしまうような状況を避けるよう管理をせざるを得なくなってしまうのかもしれませんね…

その他のルール
・ほかの人を傷つけない
・勝手に外に出ない

スマートフォンの持ち込みや服装についてはこちらの記事をご覧ください↓

【経験者が解説】一時保護所とは?

学校に行けるの?

一時保護所に保護されても学校に行けるの?施設の子向けの特別な学校に行かされるの?
…学校に通えるのかどうか、不安な子もいますよね。

これについては『一時保護所の実態と在り方及び一時保護等の手続きの在り方に関する調査研究 報告書(令和3年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング) 』のなかで、一時保護所が回答した通学に関する考えについて紹介したいと思います。

一時保護中は通学しない考えを示した一時保護所は56.8%必要に応じて通学・原籍校の授業を受けることを検討するは40.5%通学させるは2.7%でした。

通学しない理由として次の回答がありました。

  • 送迎対応する職員が確保できないため
  • 保護者が子どもを奪還するおそれがあるため
  • 無断外出の恐れがあるため
  • 原籍校への通学手段として通学できる児童もいれば、遠方の児童は困難など、公平性が担保できないため
  • 短期間であり、学校が出席日数について配慮してくれるため
  • 通学できる子どもは一時保護委託しているため

必要に応じて通学を検討する際は以下のような場合があるとしています。

  • 高校生の場合で個別に検討
  • 高校生で出席日数が足りず、留年のおそれがある場合
  • 受験生で受験対策が必要な場合
  • 定期テスト、修学旅行など学校行事のとき、部活動(子どもの希望が強い場合)
  • 入所が長期化している場合
  • 児童相談所の担当児童福祉司などの付き添いの下での通学は可能

これまで説明してきたように56.8%が学校に通えないことになっていますが、一時保護所で生活している間は学習する時間を確保することを「児童相談所運営指針」で明記されています。

一時保護している子どもの中には、学習をするだめの精神状況にない、あるいは学業を十分に受けていないために基礎的な学力が身についていない子どもなどがいる。

このため、子どもの状況や特性、学力に配慮した指導を行うことが必要であり、在籍校と緊密な連携を図り、どのような学習を展開することが有効か教義をするとともに、取り組むべき学習内容や教材などを送付してもらうなど、創意工夫した学習を展開する必要がある。

また、特にやむを得ず一時保護期間が長期化がする子どもについては特段の配慮が必要であり、都道府県又は市町村の教育委員会等と連携協力を図り、具体的な対策について多角的に検討し、就学機会の確保に努めること。

『児童相談所運営指針』
第5章一時保護 第3節 一時保護所の運営
3.保護の内容 (7)教育・学習指導

学校に比べて学習時間が短いこと、指導をするのが教員免許のない人である場合が多いこともあって、この現状について課題意識をもっている人も多くいます。

よって、一部の例外を除いて、基本的には学校に通えないけど、その代わりに一時保護所内で学習する時間が設けられているということになります。

学校に行っていない間の出欠扱いについて

子ども
子ども

学校に行っていない間は全部欠席になっちゃうのかな…

これについては学校によって対応が異なるようで、SNSでは「欠席になった」「出席になった」と、さまざまな声が投稿されていました。

この出欠扱いについて、書籍『一時保護所の子どもと支援』の一部を紹介します。

一時保護されている児童の、在籍校における出席扱いは、そのまま在籍校が一時保護における学習を評価するかしないかという見方に置き換えて考えることができる。

学校として、一時保護所における学習の時間を、学校における教育に相当すると判断した場合は「出席」となるであろう。相当するとまでは判断できないものの、学校に通えないという、やむを得ない子どもの状況であると判断された場合には、「出席を要しない日」と見なすであろう。これはインフルエンザなどの法定感染病による出席停止の対応と同様である。

『一時保護所の子どもと支援』
第5節 学習時間のガイドライン 8出席扱い p.195

よって、出欠扱いについては学校と児童相談所(あるいは一時保護所)が連携して、子どもの状況を適切に伝えること、そして、一時保護所側も出席に見合う学習を提供していくことが重要なポイントになってきます。

一時保護されている間、学校に出席していることになるのか・欠席していることになるかは中高生は特に気になるんじゃないかな〜と思います。わたしのときはどうだったのかな…

自由時間の過ごしかた

一時保護所は児童養護施設と同様、場所によって生活ルールが違うのを強調しておきたいのですが、自由時間は一時保護所にある物を使って各々過ごしているようです。

一人で遊ぶ

  • ルービックキューブ
  • アイロンビーズ
  • パズル
  • シルバニアファミリー
  • 漫画 / 読書
  • あやとり
  • プラ板づくり
  • 小型DVDプレイヤーでDVD鑑賞

複数人で遊ぶ

  • 人生ゲーム
  • オセロ
  • ウノ
  • トランプ

その他の過ごし方

  • テレビ鑑賞(録画番組の視聴)
  • ゲーム(任天堂Switch)
  • 音楽鑑賞

わたしの経験談

もう数十年も前の経験なのでほとんど記憶がないのですが、プラ板をつくった記憶だけはありました。

保護所にある漫画の上にシートを乗せて、マジックペンでなぞって、色を塗ってオーブンで焼いて…できあがったものに毛糸のヒモを通してもらってキーホルダーにしてもらった記憶があります。

一緒に過ごしていたお姉ちゃんは、CDプレイヤーを借りて宇多田ヒカルさんの曲を聴きながら漫画を読んでいた記憶があると教えてくれました。

喋るの禁止…だったかは覚えていませんが、それなりに一時保護所にある物で過ごしていたかな〜と思います。

もし一時保護所での生活を覚えている人がいたらぜひ、経験談を教えてくださると嬉しいです!

一時保護所の環境

ここからは一時保護所の生活環境についてみていきます。

①部屋割りについて

最近できた東京都23区の一時保護所は個室が多くあるそうですが、歴史のある一時保護所では大部屋で寝るような場所もあるようです。

わたしが過ごしていた当時は畳の部屋に5.6人分の布団を敷いて、みんなで寝ていました。もちろん男女は別々です。

最近は個室がある一時保護所もあると聞いていたので、個室はどれくらいあるのかな〜?と疑問に思っていたところ、こんなデータを見つけました。

近年、新しく設置された一時保護所は個室が多く、全体としても個室率が高くなったイメージがありましたが、個室を持つ一時保護所全体の個室率を平均化すると24.7%にしか満たないようです。また個室がまったくない施設もまだまだ多く残っているようです。

以上のことからある程度推測できますが、小学生以上の居室について見てみると、複数人部屋のほうが多くなっています。一方で基本的に全員個室と回答した一時保護所も30.6%あり予想以上には拮抗している印象を受けました

でも、そうすると逆に個室がないと回答している45%の施設ではどのような対応をしているのか気になりますね。

また、生活する空間についてはこのような回答がありました。

  • 男子寮、女子寮に分かれているため、幼児は女子寮で保護する
  • 男女フロアが1階と2階で別れている
  • 幼児のみ固定、学童は状況に応じて変動する
  • 年齢、性格、個々の課題等によって分けている

引用:一時保護所の実態と在り方及び一時保護等の手続きの在り方に関する調査研究報告書 令和3年3月三菱UFJリサーチ&コンサルティング

わたしの過ごした一時保護所は1フロアの中心にビニールテープで境界線が引いてあって、左は「男子のゾーン」右は「女子のゾーン」にわかれていました。 

②洋服

つづいて洋服についてです!

洋服と下着の持ち込みを認めている一時保護所は56.8%、下着のみ認めているのは5.4%、洋服と下着とも持ち込みを認めていない場所が27.0%でした。

両方の持ち込みを認めていない場所はどのように対応しているのかというと、新品を支給していると答えた場所が73.4%、保護所にある物を貸し出している場所が23.3%でした。

わたしの経験だと古い情報ではありますが、当時は男の子は青、女の子は赤のジャージを着て過ごしていました。ジャージは使い回しだったと思います。下着がどうだったかは覚えていませんが…

③インターネット環境について(パソコン・スマホ)

つづいてインターネット環境についてです!

基本的に外部の人に連絡できるような物は持ち込めないことが多いです。

よって一時保護所にいる間はパソコンやスマホを使うことができません。

しかし、一部例外もあり、以下のような場合に通信機器の利用を認めることがあるそうです。

  • 高校生が登校する場合
  • 担当ケースワーカーの指示により、アルバイト先への欠勤連絡等
  • 職員立ち合いでオンライン授業を受けさせた
  • 学校での授業やテスト等で出席が必須な場合
一時保護所 職員さん
一時保護所 職員さん

保護所での生活は退屈することもあるので、パソコンを貸してタイピングの練習をする子もいたりします。

また、保護所にいる間に外からの情報を得られる機会があるのかを聞いたところ、テレビくらいしかないとのことでした。

ただ、テレビといってもニュース番組ではなく、子ども向けの番組を視聴するということで、一時保護所にいる間は外からの情報が入りにくいようでした。

わたしのお姉ちゃんはケータイを持って保護されましたが、生活しているときに使うことはできず、職員室で保管されていました。

④テレビゲームについて

一時保護所 職員さん
一時保護所 職員さん

うちの一時保護所ではテレビゲームができます!

もちろんすべての一時保護所にテレビゲームのできる環境が整っているわけではないですが、ゲームができる場所もあるとは驚きです。

クリスマスやお正月などのイベントはあるの?

一時保護所ではどんなイベントが開催されているの?クリスマスは?お正月は?

年間行事

このパートはインタビューする中で驚いた項目でもあります。

やること
1月お正月(おせちを食べる)
2月豆まき
3月ひなまつり・卒業のお祝い
4月進学のお祝い
5月
6月
7月
8月
9月お月見
10月ハロウィン
11月
12月クリスマス会

季節の行事がない月は、職員さんが考えたイベントが開催されているとのことです。

具体的なイベント例

具体的なイベント例がこちらです!

展覧会…子どもたちが作った作品を展示して、社会福祉士さんに見に来てもらい、作品にコメントをもらう

スポーツ大会…男女混ざって運動会 / マラソン大会をするところも

ビンゴ大会…商品は職員さんが持ち寄ったぬいぐるみやキーホルダーなど。

カラオケ大会…部屋を暗くしてプロジェクターに投影。ストレス発散!

映画鑑賞会…プロジェクターに映して映画鑑賞。お菓子を食べながら楽しい時間に!

避難訓練…毎月一回開催しているところも。非常食を食べたりします。

調理実習…調理室でパフェづくりや焼きそばづくりをします。

誕生日会…誕生日も個人情報に当たるので、誰が誕生日かは言えないそうなのですが、その日の夕食にそっとケーキが出てくるようです。

遠足…不定期にはなりますが、一時保護所を出てみんなで出かける日があるそうです。どこに行くかは職員さんが企画しています。近場だったり少し遠出だったり。

今回紹介したイベントは基本的に一時保護所内で行われるイベントですが、こんなにたくさんあるのは驚きました!

短くて数日〜2ヶ月ほど過ごす一時保護所ですが、子どもたちが退屈しないよう工夫してくださっている職員さんの声が印象的でした

生活していた子どもの声

ここでは複数の職員さんにインタビューをするなかで教えてもらった「生活していた子どもたちの声」を紹介します!

居心地がいいから帰りたくない!

あの行事があるまでココにたい!

刑務所みたい…

一時保護所を窮屈だと思う子もいれば、家庭よりも安心して過ごせた子もいて…

その子の年齢や状況・過ごした一時保護所や対応してくださった職員さんによってこんなにも感想が違うんですね。

まとめ

それでは、今回の記事のまとめです!

  • 一時保護所では一日の流れが決まっており、平日は学習の時間・土日は自由時間があります
  • ルールは場所によって異なりますが、共通してあるのが「じぶんの家族のことや住んでいる地域のことを話さない」こと
  • 保護されている間、学校に行ける場合もありますが行けないことがほとんどです
  • 保護されている間は児童相談所が学校と連携して出席扱いになることもあれば、欠席扱いになることもあります
  • 一時保護所には複数人で遊べるボードゲームや一人で遊べるおもちゃがあるので、自由時間は思い思いに過ごせます
  • 一時保護所の内、個室がない施設は全体の45%あります。一方で、個室を持つ55%を占める施設において、一施設あたりの個室率を平均化すると24.7%になります。
  • 基本的にスマホやパソコンでインターネットにつなぐことはできません。持ち込みも許可されていない場所が多いです。
  • どうしても制限の多くなってしまう一時保護所ですが、子どもたちが退屈しないよう、職員さんがお正月・豆まき・ひなまつりなど、たくさんのイベントを企画してくださっています
  • 生活していた子は居心地が良いから帰りたくない!という子もあれば、刑務所みたいでイヤだったという子もいます

いかがでしたでしょうか?

個室の有無など、保護される施設によって環境が大きく異なる点もあれば、複数の施設で共通するルールなど、知れば知るほどに意外と奥の深い施設であることがわかりました。

また、今回のインタビューでわかったことですが、新設している東京都23区の一時保護所だと職員配置の数がや個室の数も多く、そのおかげで子どもと一対一で関わる時間があったり、個室で過ごす時間を許可していたり、一時保護所で過ごしているの?と驚くくらい、ゆとりを感じられる生活が送られていることがわかりました

ただ、一時保護所ごとに違うというのも事実です。

繰り返しにはなりますが、今回の記事は資料やインタビューを通じてできる限り、一時保護所の生活を具体的に見える化させていただきましたが、全ての施設が今回まとめた記事の内容の生活環境と合致するわけではないということはご理解ください。

今回の記事で、少しでも多くの方が一時保護に対する不安や心配な気持ちが解消できたなら嬉しいです。

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