児童養護施設の暮らし【10年間暮らした施設出身モデルが解説】

閉鎖的な世界なので、一般家庭出身の方からしたら謎に包まれた児童養護施設での暮らし。

施設ではどんな暮らしをしているかな…?
気になるけど、親御さんと離れて暮らす施設だし、当事者に聞くのはなんだか後ろめたい…

皆さまは、ちょっと暗いイメージをお持ちではありませんか??

もちろん、虐待の問題などネガティブな側面ももってはいますが…
実は、皆さんがイメージするほどネガティブで窮屈なところではないんです!

今回はそんな児童養護施設の暮らしについて、習いごとについてや、お小遣いの金額まで、10年間施設で暮らしたことのある、わたし”田中れいか”がご説明したいと思います!


児童養護施設の暮らし〜1日の流れ〜

前回の記事でもお伝えしましたが、児童養護施設は幼稚園〜高校生(2〜18歳)までの子が一緒に暮らす「学生寮」だと考えていただけるとイメージしやすいかと思います。

そして学生寮と同様に、一緒に暮らす人数やルールが違います。児童養護施設は全国に数百ヶ所あるので、個別の事例をもって全ての施設について語ることはできませんが、今回はわたしが暮らしていた東京都の施設を例として、児童養護施設の1日の流れをご紹介したいと思います。

青葉学園@福島 児童養護施設ってどんなところ?〜施設で10年間暮らした福祉系モデルが語る〜

(※ +を押すと表がでてきます)


6:50起床
7:20配膳:朝食の準備
7:30みんなで朝食
8:00学校へ登校
16:00学校から帰宅
宿題 or 友だちと遊ぶ
17:00小学生門限
幼児さん / 小学生お風呂
17:45中学生門限 & 夕食の準備
18:00みんなで夕食
19:00自由時間(主にテレビ鑑賞)
19:301~3年生 職員さんと遊べる時間
20:001~3年生 就寝
4~6年生 職員さんと遊べる時間
21:004~6年生 就寝
中学生 テレビ時間
22:00中学生 就寝
高校生テレビ時間
23:00高校生 就寝

7:50起床
8:20配膳:朝食の準備
8:30みんなで朝食
9:00テレビ時間
10:00自由時間
11:45配膳:昼食の準備
12:00みんなで昼食
13:00自由時間
17:00小学生門限
幼児さん / 小学生お風呂
17:45中学生門限 & 夕食の準備
18:00みんなで夕食
19:00自由時間(主にテレビ鑑賞)
19:301~3年生 職員さんと遊べる時間
20:001~3年生 就寝
4~6年生 職員さんと遊べる時間
21:004~6年生 就寝
中学生 テレビ時間
22:00中学生 就寝
高校生テレビ時間
23:00高校生 就寝


施設の暮らしのなかで「これは守ろうね」と言われていた日課は ①起きる時間と寝る時間 ②ご飯を食べる時間 ③門限 です。

そして当番制のルールとして「共同で使う場所の掃除」や「毎日食べるご飯のお米とぎ」なんかがありました。

夕食を食べてから就寝するまでの時間は基本自由です。
就寝前は30分ほど職員さんと一対一で遊べる時間がありました。本を読んでもらったり、絵を描いたり、話をしたり、、、何をするかはじぶんで決めることができます。

また、時々じぶんの持ち時間をみんなで足して、就寝前の時間を過ごすこともありました。ボードゲームやUNO、神経衰弱といった長時間かかるゲームをするときです。

同年代の子が多い部屋だと、みんなでふざける時間を過ごすこともありました(同い年の子は基本はバラけるケースが多いのですが、一番多いときで4名同じホームで暮らしていました)。


学校はどこに行っているの?

施設で暮らしている子どもたちはどんな学校に通っているの?
施設の子向けの特別な学校?それとも普通の公立?


厚生労働省のデータによると、児童養護施設で暮らしている子どもたちの就学状況は以下のようになっております。

「児童養護施設入所児童等調査の概要(令和2年1月)
厚生労働省子ども家庭局 厚生労働省社会援護局障害保健福祉部

ここからは、わたしが東京都の児童養護施設で暮らしていたときのお話をしようと思います。

わたしの施設の仲間は基本、施設の学区域にある学校に通っていました。小学校・中学校は区立の学校へ。高校は東京都立の高校へ進学することが施設の決まりでした(私立だと学費が高いですからね)。

そして、障がいをもつ子は特別支援学級のある学校へ通学します。その子の状況にもよりますが、必要であれば施設の先生が毎日送り迎えしていました。

このように施設の子たちは、施設の子向けの特別な学校に通うわけではなく、みなさんと同じように公立の学校へ通い、受験を経て高校へ進学することになります。

放課後や休日等、余暇の過ごし方は?

施設で暮らしている子どもたちは、放課後や休日はどのように過ごしているの?
塾や習いごとは?ゲームやインターネットはできるの?


①習いごとについて


地域のイベントや講演会で「児童養護施設の暮らし」についてお話すると、こういった質問をよくいただきます。

児童養護施設には財政的余裕がなく塾や習いごとをさせる余裕はなさそうと思われているかたも多いと思いますが、実は施設で暮らしていても習いごとはできます!


厚生労働省では「児童養護施設運営指針」において、可能な限り子どもが望む「習いごと」をさせるよう示しています。

(8)主体性、自律性を尊重した日常生活
②主体的に余暇を過ごすことができるよう支援する。 ・子ども興味や趣味に合わせて、自発的活動ができるよう支援する。 ・学校のクラブ活動外部のサークル活動、子どもの趣味に応じた文化やスポーツ 活動は、子どもの希望を尊重し、可能な限り参加を認める

児童養護施設運営指針 「1.養育・支援 」
平成24年3月29日 厚生労働省雇用均等・ 児童家庭局

しかし、方針でも”可能な限り”と記載されている通り、すべての「習いごと」ができるわけではありません。

例えば、お金がかかる場合は職員会議が必要になりますし、遠方まで通う場合は職員さんが送り迎えにいけないと了承ができないこともあります。またプログラミングや演劇といった希少なものは個別に対応することが難しいかもしれません。

このように施設の事情でできないこともありますし、全部が全部、子どもたちの要望に応えることは難しいですが、最近は地域のボランティアさんが施設に出向いて教えてくれるパターンもあり、昔よりも様々な「習いごと」ができるようになってきたと感じています。

ちなみに私も、施設にいた頃は週一でボランティアさんからピアノを習っていました。


施設での「習いごと」例
・ピアノボランティア(週一)
・絵画ボランティア
・ダンスレッスン / ダンス体験
・学習ボランティア
・影絵体験(不定期or単発)…など

②塾について



「習いごと」と併せて質問されるのが塾についてです。ただ残念ながら塾に関しては行ける場合といけない場合があります。

わたしの例を紹介させていただくと、中学生の時は施設から塾代を出してもらえましたが、高校生になると塾代は出してもらえませんでした

しかし、わたしは大学進学を考えていたので、自分で稼いだアルバイト代から塾費用を捻出しようと考えていたこともありましたが、自立の準備資金に加えて塾代を払う余裕がなく断念することに。そして近隣の大学が開催している無料の学習塾に通うことにしました。


なぜこのようなことになるのでしょうか?
ここで、制度面から確認してみます。

国から支給される措置費内訳の教育費を確認すると学習塾費と記載されていますが、なぜか中学生に限られてしまっています。
このため、高校になると塾代を払ってもらえなかったということになります。

社会的養護の現状について(参考資料)平成29年12月
厚生労働省

一方で、高等教育への進学率の低さが課題となっている児童養護施設にも関わらず、高校時代に塾へ通いやすい環境が整っていなければ、進学率の向上は難しいのではないでしょうか?

そこで、自治体の中には、独自に予算措置を行い高校生の塾費用を施設に補助しているところもあります。

施設入所児童フェアスタート応援事業
平成30年、埼玉県は「施設入所児童フェアスタート応援事業」を新設し、施設で暮らす高校生の学習費や部活動などのお金を補助していくことを決めました。

児童養護施設等の高校生入所児童の学習費大学受験料等を補助し、入所児童の学力向上を目指す

まだ、部活動費、定期代、社会活動参加費、その他高校生活費を補助し、入所児童が充実した高校生活を送り、自己肯定感、自立能力を高められるように支援する。

施設入所児童フェアスタート応援事業


以上のように、塾に関しては中学生の頃はみんな通うことができますが、高校生になると施設や地域、個人的な事情によって変わってきます。


③インターネットやゲーム(スマホ・パソコンなど)


こちらもよく聞かれる質問です。
またまたわたしが暮らした施設の事例をご紹介します!


パソコンについて

パソコンは一つの部屋に一台配置されていました。

わたしの施設では、7~8人が一つの部屋で共同生活をしていたので、7~8人で一台のパソコンを使うことになります。

高校から出された課題を行なったり、ネットで調べものをする際に利用していましたが、この人数に対して一台しかなかったため、ひとり1時間ずつといったルールがありました。

パソコンを使うときは利用表に ①名前 ②開始時間・終了時間 ③使う目的 を書き、印刷をするときは職員さんを呼んで調べ物をしていました。


一変「管理されている窮屈な環境」に思われたかたもいると思いますが、わたしは学校生活を通じて不便に思ったことはありませんでした。ただ中にはパソコンを使うのが好きな子がいたり、調べ物をするにも窮屈に感じたりした子がいたかもしれません。


ケータイ・スマートホンについて

携帯電話は月々の支払いをじぶんでしなければならないため、原則「高校生になってアルバイトを始めた子」が持てる約束になっていました。

高校生でケータイを持った経験のあるかたはわかるかと思いますが、高校生は未成年にあたるため、契約をするときは「保証人」を立てる必要があります。

児童養護施設の子は ①両親から何らかの虐待を受けた子 ②何らかの理由で親がいない子 ③何らかの理由で両親のもとで育てられない子 が一緒に暮らしているため、親御さんを保証人に立てることが難しい場合もあります


そういった事情を考慮した大手ケータイキャリアのソフトバンクさんが、2011年〜児童養護施設で暮らしている保証人を立てることが難しい高校生(未成年者)でも携帯電話を契約できるようにしてくださいました。


  ご来店者 必要書類
施設ご入所者(未成年)
+施設ご関係者
の同時ご来店の場合
施設ご入所者(未成年)のご本人確認書類
施設ご関係者による同意書 (PDF:133K)
施設ご関係者のご本人確認書類+施設ご関係者であることを確認できる書類
施設ご入所者(未成年)と施設ご関係者の関係が証明できる書類
施設ご入所者(未成年)のみ
のご来店の場合
施設ご関係者のみ(代理人)
のご来店の場合

施設ご入所者(未成年)からの委任状 PDF(PDF:127K)
施設ご入所者(未成年)のご本人確認書類
施設ご関係者のご本人確認書類+施設ご関係者であることを確認できる書類
施設ご入所者(未成年)と施設ご関係者の関係が証明できる書類

詳細リンク→児童養護施設に入所されている未成年者の携帯電話のご契約について


来店するパターンによって必要書類が異なりますが、わたしは施設の職員さんと一緒に最寄りの店舗へ行き、念願のiPhoneをゲットしました。


また、施設によっては児童養護施設側がケータイを法人契約して子どもたちが持てるよう工夫していたり、施設内にwi-fiを設置してインターネット環境を整えたりしている施設もあるそうです。


テレビゲームについて

予算は決まっていますが誕生日プレゼントやクリスマスプレゼント、お年玉をもらうことができるのでお金を貯めたり合算したりしてPSPやDSといった携帯ゲーム機器を買う男の子もいました。

みなさんが少し気になるであろうゲーム時間は、小学生低学年は30分、高学年は45分、中学生・高校生は1時間と決まっていました。

もともと部屋にはPS3があったので、休みの日には順番にゲームを楽しんでいました。またクリスマスの時期になると、企業の方からのご厚意でWiiやゲームソフトなどの寄贈もありました。

※遊んでいたソフト例)ゼルダの伝説、サルゲッチュ、バイオハザード、スマッシュブラザーズなど

わたしは休みの日になると施設の子たちと遊ぶことが多く、大きい子がプレイするテレビゲームを見るのが好きでした。


お小遣いってもらえるの?

施設で暮らしている子どもたちは自由に使えるお金はあるの?
お小遣いは?お年玉は?

お小遣いの有無や金額についても、気になる疑問ですよね?
結論から言うと貰えます!


金額についてはわたしの施設の例でご紹介すると、小学校1年生から3年生までは1,500円。4年生から6年生までは1,600円。中学生では2,800円。そして高校生になると5,500円を月に1回もらっていました。(幼児さんは1,100円)

「子どものくらしとお金に関する調査」(金融広報中央委員会)によると、一般家庭でお小遣いをもらっている子どものうち、月に一回もらっている場合では以下のような結果となっています。

「子どものくらしとお金に関する調査」(第3回) 2015年度調査
「知るぽると 金融広報中央委員会」

こちらと比較すると、だいたい一般的な家庭で暮らしてる子どもたちと変わらない水準のお小遣いをもらっていることがわかります。


そこで、次に気になるのがお小遣いの使い道だと思います。

やっぱり将来のために貯めているのかな?
自由に使えているのかな?
そのような質問もよくいただきます。

もちろん使い道は人それぞれですが、わたしの暮らしていた施設の子たちが実際に買っていた物の例をみてみると、意外と普通にお金を使えることがわかるかと思います。

小学生の使い道(例)
・「ちゃお」「なかよし」「コロコロ」といった月刊漫画の購入
・ガチャガチャ
・シールやシール帳
中/高校生の使い道(例)
・お小遣いを貯めてゲームソフトの購入
・プリクラ代
・カラオケ代
・原宿や渋谷へいくための交通費
・マクドナルドやミスドといったおやつ代
・ファッション誌の購入

お金の管理はどうしているの?
基本は職員さんが鍵のかかる場所でみんなのお金を保管・管理し、子どもたちは使いたいときに職員さんと相談しながら使用しています。また、お金を使ったらお小遣い帳を書くことが義務づけられており、①使ったらすぐに記入 ②毎月「収入・支出・残高」を書いて提出する など、金銭管理をすることが習慣になっています。

このように、施設で暮らしていても、「お小遣いは比較的自由に使うことができる」ということがご理解いただけたかと思います。

クリスマスやお正月などのイベントはあるの?

児童養護施設ではどんなイベントが開かれているの?
クリスマスは?お正月は?

児童養護施設ではクリスマスやお正月など、季節ごとのイベントがたくさんあります!以下、わたしの施設の年間行事一覧です。


1月お正月
2月豆まき
3月卒業を祝う会
8月夏の遠征行事
10月秋のマラソン大会
12月クリスマス会 

このほかにも、地域のイベントに招待していただいたり、花火大会の席を用意していただいたり、また時にはサッカー選手やお笑い芸人さんといった著名人のかたが施設に訪問してくださいました。


まとめ


  • 学生寮のように日課が決まっています!
  • 施設近所の公立小中学校へ通学します!
  • できる範囲内で習いごとができます!   
  • 習いごとは可能な限り子どもが望むものができます。
  • 中学生は塾代が施設から出るが高校生は出ない。(自治体による)
  • お小遣いは一般家庭とほぼ同水準の金額を貰っている。
  • パソコンは複数人で一台。1時間の使用制限。
  • ケータイ・スマホは自腹で持つ。(バイト代)
  • ゲーム機は充実。
  • 年間のイベントは盛りだくさん!

いががでしたでしょうか?
少しは児童養護施設での暮らしについて理解する手助けになりましたでしょうか?
もちろん、今回の例はあくまでも数百あるうちの一施設の話しがメインです。
ですが、多くの皆様が想像するよりも、児童養護施設での暮らしは「窮屈なものではない」というのが、私の個人的な見解です。
誤解なく皆様に伝わっていれば嬉しいです。

結びに、この出会いを機に、一緒に社会的養護について「知る」引き出しを増やし、「知る」ことで、人に地球に、やさしい未来をつくっていけたら嬉しいです!
最後までご拝読ありがとうございました!

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