里親とは?

みなさん、里親ってよく聞きますよね?

里親制度は1947(昭和22)年に初めて、児童福祉法に位置付けられました。

ちなみに児童養護施設はこれまでに何度か名称が変わっているので、名前だけでいうと「里親」のほうが有名かもしれませんね。

一方で、「養子」という言葉もよくドラマなんかで聞きますよね?

産みの親とは違う家庭で育つという意味では似ている「養子」と「里親」ですが、みなさんはその差を明確に答えることができますか?

今回はそんな「里親制度」について、東京都の里親制度PR動画に出演している、わたし「田中れいか」が、その歴史から現状についてお伝えしていきたいと思います!

里親制度とは?

成り立ちと改正の歴史

日本の里親制度が児童福祉法に制定されたのは1947(昭和22)年。

制定された当初、里親に関する条文は「対象となる子ども」と「都道府県知事が認めた者」としか表記されておらず、他に詳細な規定がなかったそうです。

制定時の法文では、里親は、要保護児童に対するさまざまな保護措置の一つとして、児童福祉施設と並べて同じ条文で規定されている(児童福祉法(旧)第27条1項第3号)。

そこでは、里親は、括弧書きで「(保護者のない児童又は保護者に看護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であつて、都道府県知事が、適当と認める者をいう)」と定義されており、他に独立した定義規定の条文はなかった

『保育と社会的養護原理』2013年10月15日初版
第11章 里親養育の基本原則と実際

1947(昭和22)年当時、いまでいう「児童養護施設」は孤児院から「養護施設」という名称に変わったばかりで、名称だけでいうと「里親」のほうが古くから変わらずあることがわかります。

それから「里親制度」はどのように変化していったのでしょうか?

ここで「里親制度」に関する歴史を整理していきたいと思います。

昭和の変化

1947(昭和22)年・児童福祉法に里親制度が制定
1948(昭和23)年・里親の運営基本方針が示された「家庭養育運営要綱」が通知
1987(昭和62)年・厚生省(現・厚生労働省)「里親等家庭養育の運営について」通知
→通知で新たに「里親等家庭養育運営要綱」が定められ、「家庭養育運営要綱」が廃止
『里親制度(資料集)(令和元年10月)』厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課・『保育と社会的養護原理(2003年10月15日)』をもとに作成

平成の変化

里親制度の改革期
2002(平成14)年
・親族里親・専門里親が創設
・厚生労働省「里親制度の運営について」通知
2008(平成20)年・児童福祉法改正で、「養育里親」と「養子縁組を希望する里親」とを制度上区分
・里親によるファミリーホーム(小規模住宅型児童養育事業)の新設
2009(平成21)年・養育里親と専門里親について、研修を義務化
2011(平成23)年・厚生労働省「里親委託ガイドラインについて」通知
→より一層の里親委託の推進を図るため、地方自治法に基づく技術的な助言を記載
2012(平成24)年厚生労働省「里親及びファミリーホーム養育指針」を通知
→社会的養護の質の向上を図るため、施設等種類ごとに指針を作成
2017(平成29)年・里親の新規開拓から委託児童の自立支援までの一貫した里親支援を都道府県(児童相談所)の業務として位置付けるとともに、養子縁組里親を法定化し、研修を義務化
『里親制度(資料集)(令和元年10月)』厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課・『保育と社会的養護原理(2003年10月15日)』をもとに作成

特に、2002(平成14)年の改正は里親制度の改革期といわれているそうです!
2002年・2008年・2009年の改正を経て里親が制度上4つに区分され、里親登録のための研修が義務化されたんですね〜知らなかったです…!

里親制度は4種類に分類されています

里親制度の歴史や成り立ちがわかったところで、まずは厚生労働省が公開している「里親」に関する文言を紹介します。

里親制度は、さまざまな事情で家族と離れて暮らす子どもを、自分の家庭に迎え入れ、温かい愛情と正しい理解を持って養育する制度です。

厚生労働省 里親制度等について

この言葉のとおり、これまで紹介してきた児童養護施設や乳児院といった、施設での暮らしと大きく違うのは「じぶんの家庭に迎え入れて育てること」です。

施設の暮らしとの違いとして、社会福祉士や保育士でない人も生活を共にできるのが里親のポイントかな〜と思います。

前回紹介した「社会的養護とは」の記事でもお伝えしましたが、里親制度は4種類あります。

社会的養護とは

それは ①養育里親 ②専門里親 ③養子縁組里親 ④親族里親 です。


養育里親何らかの理由で親と暮らせない子を、一定期間じぶんの家庭で育てる里親

専門里親専門性の高い子どもを一定期間じぶんの家庭で育てる里親

養子縁組里親養子縁組を前提に子どもを育てる里親

親族里親何らかの理由で両親のもとで育てられない子を、3親等以内の親族が育てる里親

それぞれの区分のイメージは以下のようになります。

 

それでは次に、それぞれの里親制度について、「対象となる子ども」「受講義務のある研修」「登録の有効期間」「養育人数」がどのように違うのかを見ていきます。

養育里親専門里親養子縁組里親親族里親
対象となる子ども保護者がいない児童または保護者に看護させることが不適当であると認められる児童。虐待を受けた子ども、非行のある子ども、障害のある子どもなどで、児童相談所が専門里親への委託が適当と判断した児童。保護者がいない児童または保護者に看護させることが不適当であると認められる児童。両親や監護する者が死亡、行方不明、拘禁、入院等の状態になり、養育ができない児童
受講義務のある研修養育里親研修養育里親研修
専門里親研修
養育里親研修
養子縁組里親研修
研修義務なし
登録の有効期間5年間(5年ごとに更新研修を受講)2年間(2年ごとに更新研修を受講)5年間(5年ごとに更新研修を受講)児童の委託解除とともに登録取り消し
養育人数(※)4人まで4人まで4人まで4人まで
『里親制度(資料集)(令和元年10月)』厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課・『養育里親研修テキスト(平成29年10月改訂)p.10』をもとに作成

養育里親・・・同時に養育する委託児童および委託児童以外の子ども(実子など)の合計は6人まで

専門里親・・・4人まで/ 同時に養育する委託児童および委託児童以外の子ども(実子など)の合計は6人まで

養子縁組里親・・・同時に養育する委託児童および委託児童以外の子ども(実子など)の合計は6人まで

親族里親・・・同時に養育する委託児童および委託児童以外の子ども(実子など)の合計は6人まで

親族里親だけ研修義務や登録の有効期間がないんだね〜

おまけ|季節里親は里親制度?

みなさん、「季節里親」ってご存知ですか?

「季節里親」とは、施設で暮らしている子どもを週末、祝祭日、夏休み、冬休み、春休みなど、学校の休業期間などに数日間、家庭生活を経験してもらうことを目的にしています。

結論からいうと季節里親は 里親制度に含まれている地域里親とは別にボランティアとして位置付けられている地域両方含まれている地域 など、自治体によって違うようです。

「季節里親」については、また別記事で詳しく紹介していく予定です!

里親と養子縁組の違い

さっきから、養子縁組里親ってあるけど、養子縁組って里親制度の一部なの?って思われた方もいますよね。

しかし、里親と養子縁組は別々の制度であり、養子縁組里親は養子縁組を活用した里親ということになります。

それをイメージ図にすると以下のようになります。

また、一般的な里親と養子縁組の違いを図にすると以下のようになります。

『保育と社会的養護原理 2013年10月15日発行』をもとに作成

基本的には、養子縁組を行うと育ての親が親権を有します。

一方で里親としてだけでは育ての親は親権を持たず、里親の中でも養子縁組を行う養子縁組里親だけが親権を得ることになります。

親権の有無が里親と養子縁組の大きな違いなんだね!

里親制度の現状

ここからは、里親制度の現状をみていきます。

里親の登録者数と実際の委託数

里親になるには研修を受け、里親登録をする必要があるとお伝えしましたが、里親の登録者数は年々増加しています。

「養育里親と養子縁組里親」、「養育里親と専門里親」など、複数登録している人もいるみたいです。

里親の区分別の登録者数の推移はこのようになっています。

養育里親が一番多く、つづいて養子縁組里親の登録者数が多くなっています。

また、実際の委託数は養育里親が多く、つづいて親族里親に委託される児童数が多いことがわかります。

どんな子が里親家庭へ行くのか

続いて、どんな子が里親家庭へ行くのか、子どもたちの背景についてみていきます。

厚生労働省の「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月1日)」によると、里親家庭で暮らす約5,000人の子どもたちは次のいずれかの理由で里親家庭で暮らすことになります。

平成30年度版 入所理由トップ10
・養育拒否
・母親の精神疾患
・母の放任・怠だ
・母の死亡
・その他
・母の行方不明
・破産等の経済的理由
・母の虐待・酷使
・父の虐待・酷使
・母の拘禁

42.9%が家庭から、28.5%が乳児院から、14.9%が児童養護施設から里親家庭へ移り住むことになります。そして、里親家庭から新しい里親家庭へ変更する子は3.7%となっています。

里親家庭で生活をする子の38.6%は虐待経験があり、56.5%は虐待経験なしとなっています。

虐待経験として一番多いのが、全体の55.7%を占めているネグレクト(育児放棄)です。

わたしの勝手なイメージなんですが、親のいない子が里親家庭で暮らすと思っているけど、どれくらいの子に、実の親御さんがいるんだろう…?

つづいて、家族の有無や家族との交流について見てきます。

里親家庭の保護者の状況について、両親またはひとり親のいる子は78.4%、両親ともいない子は17.1%、両親とも不明な子は4.1%です。

両親またはひとり親のいる子のうち、家族との交流がある子は28.1%、交流のない子は70.3%となっており、家族との交流のない子のほうが多くいることがわかります。

親がいても交流がない…自立援助ホームの現状もそうでしたね。

ぱくたそ 児童福祉の最後の砦「自立援助ホーム」って何?

なぜいま、社会的養護の中で里親が求められているのか

①信頼関係の構築と実家的役割

厚生労働省の「社会的養育に向けて(令和2年10月)」によると、里親家庭で子どもを育てることは、次のような効果が期待できるため社会的養護のなかでも里親制度を推進していくとしています。

  1. 特定の大人との愛着関係の下で養育され、安心感の中で自己肯定感を育み、基本的信頼感を獲得できる
  2. 適切な家庭生活を体験する中で、家族のありようを学び、将来、家庭生活を築く上でのモデルにできる
  3. 家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学んだり、地域社会の中で社会性を養うとともに、豊かな生活経験を通じて生活技術の獲得できる

以上の効果から、委託解除後も関係を持ち、いわば実家的役割を持つことができるとされています。

児童養護施設をでたあと、家庭での生活経験がないことから区役所での手続きができなかったり、冠婚葬祭のマナーを間違えてしまうといった現状がありましたよね。

児童養護施設退所者が就職後に待ち受ける困難

進学率

これは国の見解ではなくあくまでもわたしの考えですが、他の社会的養護よりも里親の方がより良いと感じるのが「学歴面」です。

厚生労働省の調査データによると、児童養護施設を退所した人よりも里親家庭を退所した人の進学率の方が高くなっている事実があります。

またそのほかにも、調査データにはなかったのですが、「卒園後、何かあったら里親さんに相談できた」「生活については里親家庭で経験できた」という声も聞いたことがあり、里親家庭で過ごすことは「家庭での経験」でいうと良さがあると感じています。

まとめ

それでは、今回の記事のまとめです!

  • 平成に入ってから、いまの里親制度の形態になった
  • 里親制度は4種類あります
    ①養育里親 ②専門里親 ③養子縁組里親 ④親族里親
  • 里親の登録者数は養育里親が一番多く、つづいて養子縁組里親が多い
  • 実際の委託数は養育里親が一番多く、つづいて親族里親が多い
  • 里親家庭にくる子は42.9%が家庭から、28.5%が乳児院から、14.9%が児童養護施設からやってくる
  • 里親家庭で生活をする子の38.6%は虐待経験があり、56.5%は虐待経験がない
  • 養子縁組と里親の違いは「親権」にあります
    養子縁組を行うと育ての親が親権を有します。
    一方で里親としてだけでは育ての親は親権を持たず、里親の中でも養子縁組を行う養子縁組里親だけが親権を得ることになります。
  • 里親制度は【信頼関係の構築と実家的役割】が期待できることから推進していくこととしています。

以上、いかかでしたでしょうか?

以前、自立援助ホームの記事において、親との交流の有無が進学率に影響を与えるのかもしれないと仮説を立てましたが、児童養護施設より進学率の高い里親家庭の子どもたちも、その7割が親との交流がないことがわかりました。

しかし、国が里親制度を推進する理由にも挙げている通り、里親家庭では里親さんと子どもとの間に、実の親子のような信頼関係の構築が望めるわけです。

「親」というと、どうしても血の繋がりのある実親を真っ先のイメージしますが、信頼関係が構築できている里親であれば、それは実親となんら変わりなく、その交流が進学率にも良い影響を与えるのかもしれませんね。


トップ画像:photo by つっきー

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