18歳までに自立しなきゃ!?|社会的養護の自立支援で見落とされがちなこと
はじめに|自立支援シンポジウムに参加して
7月10日(金)社会福祉法人子どもの虐待防止センターが主催する研修に参加しました。テーマは「自立支援」です。
社会的養護の中でよく聞く「自立」という言葉。
2018年の児童福祉法改正で「自立支援を図ること」が明記されてから、自立支援に関する制度や取り組みは大きく広がってきました。
第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
だからこそ、今あらためて考えたいテーマでもあります。
自立とは、本当に「18歳までに、ひとりで何でもできるようになること」なのでしょうか。
今回の研修を通して、自立支援で見落とされがちな視点について考えてみました。この記事では、動画でお話しした内容をもとに、社会的養護の自立支援について整理していきます。
18歳で自立した人は1/70!?
私のパートでは、まず会場のみなさんにこんな質問をしました。
- 18歳で自立した人?
- 20歳で自立した人?
- 30歳で自立した人?
- 40歳で自立した人?
すると、18歳で自立した人は、会場にいた児童福祉関係者約70名のうち、なんと1人。
私を入れても2人でした。
この結果を見て、改めて感じたことがあります。
そもそも自立って、誰かに年齢で決められてするものなのでしょうか?本来は、その人の状況やタイミング、まわりの環境によって少しずつ進んでいくもののはずです。
だからこそ、社会的養護のこどもたちにだけ「18歳までに自立しなきゃ」と求めたり、そうせざるを得ない状況をつくってきた法制度には、そもそもの苦しさがあったのだと思います。
なので、わたしのパートでは、自立は、誰かに年齢で決められてするものではないということを、会場のみなさんと共有しました。
「自立しているかどうか」は、本来、自分で感じたり決めたりするものだと思います。
会場のみなさんも、自分が自立したと思う年齢を思い返して手を挙げていました。
それを他人から「もう自立している」「まだ自立していない」と決めつけられたら、少し苦しくなりますよね。

「自分は自立できている」と言い切れないまま、こどもの自立を支援している。その矛盾に気づくところから、自立支援は始まるのかもしれないね◎

ミニワーク|自立ってなんだろう?
ここで、少し立ち止まって考えてみましょう。
ノートに書き出してみると、自分がこどもたちに求めてている「自立」のイメージが少し見えてくるかもしれません。
- あなたは何歳のとき、自立したと感じましたか?
- そのとき、何ができるようになっていましたか?
- 18歳のとき、何ができていましたか?
- 今も誰かに頼っていることはありますか?
- 帰る家がなかったとしたら、誰に頼りますか?
- いま、こどもたちに求めている「自立」を、当時の自分が求められたらどう感じますか?
自立支援は本人が選び、決めていくための支援
この言葉は、シンポジウムに登壇されていた自立支援担当職員さんが話していた言葉です。
障害福祉の分野では、すでに共通認識になっている考え方ですが、児童福祉の分野では、まだまだこれから大切にしていきたい視点だと感じました。
自立支援は、「大人が正しいと思う道に導くこと」ではなく、本人が自分の暮らしや進路を考え、選び、決めていくための支援でもあるのです。
意思決定支援では、本人の意思が第一に尊重されます。
たとえ職員や家族など、周りの大人から見ると「本当にそれでいいのかな?」と思う選択だったとしても、他の人の権利を侵害するものでない限り、本人の選択を尊重しようとする姿勢が求められます。
本人がはっきりと意思を表明することが難しい場合(①が困難な場合)には、本人のこれまでの言葉や行動、好き嫌い、大切にしてきた価値観などを手がかりにして、本人の意思を推定します。
そのうえで、「本人ならどう考えるか」「本人にとって何が大切か」を、合理的な根拠に基づいて最善に解釈していくことが求められます。
本人の意思や選好をもとに考えることが難しい場合(②が困難な場合)には、関係者で協議し、本人にとっての「最善の利益」を判断していくことがあります。
ただし、「最善の利益」の判断は、あくまで最後の手段です。
大人が先に「これが本人にとって一番いい」と決めるのではなく、まずは本人の意思や選好を知ろうとすることが大切です。
引用|「意思決定支援」における基本的考え方 令和6年度サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者指導者養成研修会 をもとに、たすけあい作成
「本人のため」と思って決めたことが、本人の気持ちを置き去りにしていないか。立ち止まって考えることも、自立支援の大切な視点だよ◎

おわりに|18歳はゴールじゃない
これまで活動を続けてきた中で、あるケアワーカーから「18歳までに、全部教え込まないといけない」という言葉を聞いたことがあります。
その言葉を聞いたとき、私は少し苦しくなりました。
もちろん、こどもたちが退所後に困らないように、生活に必要なことを伝えていくことは大切です。でも、「18歳までに全部できるようにする」ことが自立支援なのだとしたら、あまりにも大きな荷物をこどもたちに背負わせてしまう気がします。
自分が18歳だったときのことを思い返してみると、なおさらそう感じます。だから、18歳はゴールではありません。自立も、誰かに決められてするものではありません。
だからこそ、支援する側も「自立とは何か」を問い直しながら、こども・若者のペースに合わせて伴走していくことが大切なのだと思います。
この記事で、みなさんと一緒に「自立支援」について考えたかった理由も、そこにあります。
ちなみに、私は30歳になった今でも、自分が完全に自立したとは思えていません(笑)
だからこそ、ひとりでできることだけではなく、困ったときに頼れること、居たい場所を選べること。そうした力や環境も、自立支援の中で大切にしていきたいです。

ここまで読んでくれてありがとう◎
また次の記事で、一緒に考えていこうね。


