【データ解説】乳児院ってどんなところ?
乳児院とは
乳児院は0歳〜小学校就学前までの7歳未満の子どもが利用できる施設です。
乳児院は、原則として乳児(1歳未満)を入所させて養育する施設です。ですが、実際には2歳あるいは3歳まで入所しているケースも多いようです。

乳児院は現在、全国に144ヶ所あり2,760人の子どもたちが利用しています。定員は3,960人です(令和2年3月末 福祉行政報告例から家庭福祉課作成)。
全国乳児福祉協議会によると乳児院には3つの機能があると紹介しています。
- 赤ちゃんの保護と養育
- 保護者や里親の支援
- 地域の子育て支援
一つ一つ見ていきます。
①赤ちゃんの保護と養育
様々な事情によって家庭で赤ちゃんのお世話ができないときに、赤ちゃんを一時的にお預かりし、24時間365日を通して赤ちゃんのお世話をお手伝いします。
人の育ちにおいてとても重要な時期ですので、赤ちゃんが安心して健全に育つように、チームで力を合わせ大切に育てます。
②保護者や里親の支援
赤ちゃんにとって保護者とのつながりは、かけがえのないものです。
乳児院は、離れて暮らす親と子の関係性をつないで、家庭に帰るためにサポートし、応援します。 里親家庭と巡り会えたときは、出会いから始まる新しい家族を、ともに寄り添い、しっかり支えていきます。
③地域の子育て支援
地域で子どもたちの育ちを見守るために、さまざまな事業に取り組んでいます。
全国の乳児院では、各市区町村との契約により、一時的に利用する「ショートステイ(子育て短期支援事業)」や「トワイライトステイ」、地域の親子の遊び場の提供や相談援助を行う「地域子育て支援拠点事業(ひろば事業)」など様々な事業に取り組み、地域で暮らす子どもとその保護者の支援にも力を注いでいます。
乳児院によって異なりますが、上記の他にも以下のことに取り組んでいるようです。
- 電話相談(赤ちゃん110番)
- 育児相談
- 里親相談・養育家庭相談
- 病児デイケア(病児保育)
- デイ・サービス(日中のお預かり)
- 地域子育て支援センター
- 子育てサロン
- 里親サロン
- 病児・虚弱児の養育
- 育児相談
児童養護施設もそうだけど、乳児院も支援の幅が広がってきているんだね

いま紹介した内容は乳幼児(※)であれば利用できますが、基本的には都道府県・政令市・中核市等に設置されている児童相談所に相談していただく必要があるとのこと!

入所理由は?
では一体、どんな子どもたちが利用しているのでしょうか?
どのような子どもを施設に保護するのかは児童福祉法で決まっており、以下のように表記されています。
第37条 乳児院は、乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む。)を入院させて、これを養育し、あわせて退院した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。
現在、乳児院を利用している子どもたちは、つぎのいずれかの理由で施設を利用しています。
- 母の精神疾患等 その他 母の放任・怠だ
- 破産等の経済的理由
- 母の虐待・酷使
- 養育拒否
- 父の虐待・酷使
- 母の拘禁
- 母の就労
- 両親の未婚
乳児院への入所理由を見ると、お母さんの精神疾患や経済的な事情、虐待などが上位を占めています。
もちろん、背景は家庭によってさまざまです。
ただ、こうした理由を見ていると、子育ての負担が母親一人に偏りやすい現代社会の課題ともつながっているように感じます。

子どもを守るための支援であると同時に、親が孤立しないための支援も必要になるね

虐待を受けた経験はある?
児童養護施設だと虐待を受けた経験のある子が65.6%いますが、乳児院の子たちはどうなのでしょうか?

こちらもデータを紹介すると、虐待経験のある子は40.9%、虐待経験のない子が58%となっており、虐待を受けた経験のない子の方が若干多くなっています。

ちなみに虐待経験のある子のうち、一番多い虐待の種類でいうと育児放棄が59.3%となっていました。
虐待経験がないのに乳児院で生活をするのは何でだろう…やっぱり親御さんの体調不良とかかなぁ…活動のなかで情報収集します!

施設に入所する経路は?
つづいて、どのような場所から施設へ措置されることになるのか、入所経路と入所時の年齢について見てみます。
家庭から来る子が62.2%と一番多く、医療機関からくる子が25.2%、その他が6.6%、乳児院から3.4%、里親家庭から1.9%、ファミリーホームから0.2%となっています。

入所したときの年齢は0歳が一番多く、平均すると0.3歳。

よって、乳児院で暮らす子どもたちは虐待を受けていない子のほうが若干多いものの、家庭から来る子が62.2%と一番多く、平均すると0.3歳で入所しています。
施設で暮らす期間
これについては、乳児院で暮らす子どもとその親御さん、そのほかの環境要因によって異なりますが、厚生労働省が発表した「児童養護施設入所児童等調査の概要(令和2年1月)」によると、その子どもが乳児院で暮らす期間は「1 年未満」が一番多く、平均すると1.4年間となっています。

15歳〜20歳くらいの子が生活をする自立援助ホームと同じくらいの期間だね


親との交流はあるの?
親との交流について紹介する前に、親の有無について見ていきたいと思います!

親はいるの?いないの?
厚生労働省のデータによると、乳児院にいる子で両親ともにいない子は1.8%(53/3,023人)、97.9%の子に両親またはひとり親がいるという統計になっています。

また、両親またはひとり親のいる子の詳細ですが、割合の多い順でいうと次のようになっています。
1)両親ともにいる子 52.8%
2)実母のみ 41.9%
3)実父のみ 2.9%
4)養父実母 2.5%
5)養父養母 0.1%

両親ともにいない子の養育者は誰なのかというと、おじいちゃん・おばあちゃんが養育しているのが31.1%と一番多いようでした。

どんな交流をしているの?
乳児院で過ごす子たちの親御さんについて見えてきたところで、家族との交流があるのかを見ていきます。
交流のある子は72.8%、交流のない子は21.5%となっています。

交流の内容は電話・メール・手紙といった間接的な交流が76%、直接的な交流として面会が19.3%、一時帰宅が4.6%となっています。

家に帰る見通しについて
最後に、乳児院で過ごす子どもたちが家庭に戻るのか施設に入るのか…今後の見通しについて見ていきます。
現在の乳児院で過ごす見通しの子どもたちは35.5%と一番多く、保護者のもとへ帰る子が25.2%、親類等の家庭へ引き取りになる子が1.2%となっています。

また、乳児院以外の児童福祉施設へ行く場合もあり、このような結果になりました。
- 乳児院→児童養護施設へ 18.7%(584/3,023人)
- 乳児院→里親・ファミリーホームへ 9.0%(272/3,023人)
- 乳児院→養子縁組へ 3.0%(92/3,023人)
- 乳児院→障害児入所施設へ 1.9%(56/3,023人)
- 乳児院→母子生活支援施設へ 0.3%(10/3,023人)
児童養護施設の子どもたちが家に帰る割合が3割だから、同じくらいなんだね

全体の2割くらいは児童養護施設で暮らすことになるのか…(結局 社会的養護のこどもとして育つんだね…)

まとめ
- 乳児院は0歳〜小学校就学前までの7歳未満の子どもが利用できる施設
- 乳児院は全国に144ヶ所、2,760人の子どもたちが利用しています
- 乳児院には3つの機能があり ①赤ちゃんの保護と養育 ②保護者や里親の支援③地域の子育て支援 に取り組んでいます
- 入所の理由トップ3は ①母の精神疾患等 ②母の放任・怠だ ④破産等の経済的理由となっています
- 入所経路は家庭から来る子が62.2%と一番多く、医療機関からくる子が25.2%、その他が6.6%、乳児院から3.4%、里親家庭から1.9%、ファミリーホームから0.2%
- その子どもが乳児院で暮らす期間は「1 年未満」が一番多く、平均すると1.4年間
- 両親ともにいない子は1.8%(53/3,023人)、97.9%の子に両親またはひとり親がいます
- 両親またはひとり親のいる子の詳細は、両親ともにいる子が52.8%、実母のみが41.9%、実父のみが2.9%、養父実母が2.5%、養父養母が0.1%
- 保護者との交流のある子は72.8%、交流のない子は21.5%
- 「交流がある」子のうち電話・メール・手紙といった間接的な交流が3.4%、面会が55.3%、一時帰宅が14.1%
- 現在の乳児院で過ごす見通しの子どもたちは35.5%と一番多く、保護者のもとへ帰る子が25.2%、親類等の家庭へ引き取りになる子が1.2%
- 全体の2割くらいは児童養護施設で暮らすことになっています
いかがでしたでしょうか?
わたし自身、乳児院は訪問した経験がないのですが、入所してくる子どもたちの背景について知ることができました。
中でも、両親がいても育てることが難しい状況にあるご家庭が多くあり、入所している子の41.9%はシングルマザーということで、お母さん一人で子育てをする難しさを改めて実感しました。

いま、乳児院の機能も変化してきているので、活動をするなかで情報を集めていきたいなと思います!
過ごした乳児院の記憶がある人は、ぜひコメントで教えてね◎


